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第65話
side凪
「ただいま」
(母さんは仕事、でも晴くんはいるな)
玄関に並ぶ靴を見て部屋にあがる。
リビングのソファーで晴くんはうたた寝をしていた。
「近頃ここでよく寝てるね」
眠る晴くんの前髪を玩び、おでこにキスをした。
この位じゃ晴くんはピクリともしない、よく寝てる。
(これだけ可愛いんだから小さい時も可愛かったよね)
急に思い立ってソファーの後ろの棚からアルバムを取り出した。
俺は黒歴史があるから最近の写真はほとんど無いんだけど晴くんのは小中高と揃っている。
「あ~やっぱりめっちゃ可愛いい」
ぺらぺらと捲って…あれ?…小さい頃は晴くんと写ってるのに、赤ちゃんの時は一人、もしくは父さん母さんと写っている。
赤ちゃんの俺と晴くんの写った写真が一枚もない…。
何故だ?
晴くんが赤ちゃんの時の写真も見当たらない…。
心臓の音が大きく聞こえる。
俺は晴くんの顔をまじまじと見た。
母さんと俺はよく似た色素の薄い髪色をしている。
父さんの髪は明るい色でも真っ黒でもない。
肌の色も晴くんは真っ白だけど、俺も両親もそれほど色白ではない。
晴くんは俺は血縁者ではない?
急に全身から汗が吹き出し、鼓動が激しくなった。
兄弟ではない?
俺は重大な事に気がついてしまった。
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