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第2話 『直×拓編』
side拓己
好きな人がいる。
その人のことを考えるとソワソワする。
でも…
自分の姿を思うと、釣り合わない。
背は低いし、女顔だし…それに…
会いに行ってもなかなか会えなくて…
その代わりに会いに行くと必ずといっていいほど凪に会う。
しゃべらないヤツだけど、悪い感じはしない。
明日は、会えるかな…。
今日もまたいつもの場所に凪がいる。
「凪、いつもここにいるよな。何してんの?」
「…鯉が見えるんだよ」
え?フツー三階から見るか?遠くね?
「いねーじゃん」
「いつもはいるの」
お、ちょっとムキになった。
いつもこの位言い返してくれぱいいのに。
男子高校生がたいして実のある話をするわけでもないが、凪とはそれなりに話をするようになった。
暇、昼飯、眠い…。
意味ねぇ…。
…けど、凪に会うのは楽しい。
そして、今日は好きな人に会えた。
毎日通った甲斐があった!
少し話して、笑顔も見られた!
このまま夢に出てくればいいのに…。
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