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第6話 『直×拓編』

side拓己 泣きじゃくり体を震わすオレを凪が抱きしめてくれた。 凪にだっこされるの…心地よくて…安心する…。 激しく泣きすぎて未だにしゃくりあげるオレを、凪は突き放さず家まで送ってくれた。 そして心配だからと治まるまでオレの部屋にいてくれた。 だからオレは今日、好きだった人に振られた事実をうけとめきれなくて泣いたんだって全部話した。 凪なら真剣に聞いてくれると思って。 そうしたら…何も言わずにオレを抱き締めてくれた…。 こんなに情けない姿を見せたのに優しくしないで… ……凪に…気持ちが傾いていく…。 泣き疲れて眠ってしまったオレは、目を覚ますと凪に抱き締められていたことに気づいた。 凪はまだ眠っている。 幼さが残る寝顔に、胸がキュンとした。 優しくされて嬉しかった。 凪ならオレを好きになってくれるのかも。 オレは出来なかった事を試してみようと思った 「わっ、な、何してるの…?」 凪が気づいた。 眠っている凪にキスをしたのだ。 したことがないから口と口をくっつけたり、ペロペロ舐めたりしてみた。 「いいだろ。減るもんじゃないし」 「減る!そういうのは好きな人としろ!」 そんなの…オレだってそう思ったよ! 「…キス位してみたかった…」 「え?」 「キスもしないで振られちゃったんだもん…」 思い出すとまた涙がでる。 あぁ、自分は面倒なヤツだ。 こんな風だから嫌がられるんだ。 だか… 「しょうがないな」 凪はその一言でオレを受け入れてくれた。

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