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第9話 【R18】『直×拓編』

side拓己 肩で息をしていると、囁くように耳元で 「気持ち良かった?」 と聞かれた。 もちろん自分が引くくらい気持ち良かった。 「僕も拓己の中で気持ちよくなっていい?」 恥ずかしすぎて声にならないが、オレばっかり気持ち良いのも不公平だ。 黙って頷いた。 「ん?」 とニヤついた顔で聞き直してくる。 言わないとダメみたい…。 「……いいから…」 消え入りそうな声しか出ない。 早く、早くきて欲しい…のに…。 ゆっくり焦らすように挿れてくる…。 「あ、はぁ…」 どうしよう…苦しい…でも気持ちいい…。 涙が溢れそうで凪の腕を掴んで気を紛らわした。 「あ、…ん…んっ…」 凪の体が動き出す。 今まで感じたことがないような気持ちよさで頭の中が蕩けそう…。 顔に汗をかきながら凪がグラインドを続ける…。 ダメ…だめ…我慢出来ない…自分の体がより深い快感を求めて動き出す。 凪の動きが早まり、二人で欲望を吐き出した。 快感の余韻が続いていたが、身体中が気持ち悪かった。 凪は動けないオレを抱えてバスルームへ行き、黙ったまま一緒にシャワーを浴びた。 そして、言葉少なく身支度を整え凪は帰った。 人はこんなに簡単にセックスできるんだ。 好きな人とは手を繋ぐ事さえ出来なかったのに…。 自分から誘って凪と…。 今頃、凪…後悔してるかな…。

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