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第10話 『直×拓編』
side拓己
中学校を卒業した春休み、オレは暇を持て余していた。
成績はそれほど悪くなかったから取り敢えず公立高校に進んだ。
一緒に高校に通いたかった。
だが凪の行く私立に偏差値が届くわけがない。
…会いたい。
凪に連絡してみようか。
首を振り、スマホを手にため息を落とした。
気分転換に出掛けた大型複合店舗で凪を見かけた。
約束していないのに会えるとか、嬉しいだろ!
迷わず声を掛けた。
「買い物?」
「そうだよ」
文具店のロゴが入った袋を手にぶら下げている。
「暇なら来いよ」
「ヤダよ」
笑いながら断ってくるコイツをウチでゲームでもしようぜって言って腕を取り、強制的にエスカレーターに乗せた。
「ゲームにコーラとポテチは必須」
と言う凪の希望を汲んで、途中のコンビニでコーラとポテチを買った。
コンソメ味か薄塩味かで意見が違ったが、両方買っていけばいいと凪が笑って言うから うん、そうしようと賛成した。
「俺は強いよ?」
って煽ってきたから
「じゃあ、コテンパンに倒すよ」
そう答えた。
凪の腕に掴まって、その言葉に乗ってみた。
凪の言葉に嘘はなく、いい線いったけど負けた。
「何でこんなに強いんだよ!」
ふて腐れた顔を見られないようにベッドにうつ伏せた。
オレがコテンパンに伸された…。
「機嫌なおせよ」
ニコニコして言うセリフか?
「いい線いってたよ?」
あー、オレカッコ悪い…。
「…慰め?」
「そうそう」
上機嫌な凪の手がオレの頭に置かれた。
やられっぱなしは性に合わない。
勢いよく凪の腕を引っ張ってベッドに引き倒した。
そのまま腹の上に跨がり
「慰めてくれる?」
唇を舐めTシャツの裾を捲り凪を誘う。
凪はオレを欲情の混じった目で見つめ、捲った裾から手を差し入れた。
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