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第19話 『直×拓編』

side直樹 シャワーを浴び、体の熱をバスルームの排水口に流した。 後悔はしていない。 でも…晴くんが泣いた所につけ込んだ…。 (…サイテーだ…) ガタン、と浴室の扉の外で物音がした。 (晴くん…?) 扉を開けて出るとぱっとこちらを振り向いた。 「こ…これ…」 自分の胸の辺りを指差している晴くんは、明らかに動揺している。 「うん、キスマーク。俺のものってシルシ」 「な…んで…?」 「晴くんが可愛いのがいけないんだ…」 近寄って腕の中に晴くんを収めた。 指先で赤い印を撫でる。 「…俺のものになってよ…」 晴くんは揺れる瞳で黙って俺を見つめた。 送って行くって言ったのに、大丈夫の一点張りで晴くんは一人帰った。 自分の部屋で…今まで晴くんといたベッドに横になって…目を伏せた。 晴くんの想い人…誰なんだろう…。 好きな女子が女子と付き合ってるって…絶望的じゃん。 男の晴くんに望みはない。 それなら…俺でもいいんじゃない? 俺は今、フリーだし。 晴くんが…俺でいい、俺のほうがいいって言ってくれれば…。

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