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第25話 『直×拓編』
side拓己
凪とは友達のようなそれ以上のような…ひどく曖昧な距離のまま俺は凪に抱かれている。
同情や慰めから始まったこの関係に溺れはじめているのは事実で、俺はこのままでいいと思っている。
…いや、思っていた。
夏休みに入って引きこもりのクーラー漬けの生活がたたったのか、体が怠い。
ベッドに寝転んでうとうとしても十分過ぎる睡眠を取っていたせいか眠れない。
寂しい…
人肌が恋しい…
誰かにそばにいて欲しい…。
俺は凪に連絡をとっていた。
「拓己、危ないよ。起きて」
凪の声がして意識がはっきりとしてきた。
ダイニングテーブルに座って凪を待っていたんだ…。
「んー、動けない」
両手を伸ばし、甘えてみた。
凪は俺を抱えてベッドにコロンと転がした。
「ベッドで寝といたほうがいいって」
「んー、でも…」
体を起こして抵抗する。
…凪は俺に触れたくない?
頭がカクンと倒れて視界がブレる。
「危ないよ」
「…帰っちゃうだろ」
俺にキスしたくない?
「…しばらく居てやるよ」
触って欲しい、抱き締めて欲しい…心を埋めて欲しい…
「へへ…」
俺は凪の優しさにつけこんでる…。
凪の優しさが…今日はちょっと辛い…。
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