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第27話 『直×拓編』
side拓己
知らない人なのに、何故か気になる…。
それともどこかで会ってたり…?
「拓己、前…!」
え?何言って…んっ!
ぼーっとしていたら肩がぶつかってしまった!
「あ、すみません…」
「晴くん!大丈夫?」
凪、晴くん…って?
晴くんと呼ばれた人は優しそうな“お兄さん”って感じの人で、ああ、この人が凪の兄弟なんだと思った。
「えっと、大丈夫?」
「あ、うん、ハイ…」
緊張する…。
変に思われたかな…?
「凪の友達だよね?」
「中学の同級生だよ。安堂拓己」
友達…うん、そうだ、僕は友達…。
そう紹介されて会釈した。
「僕は凪の兄で晴海といいます。拓己くん、よろしくね。都丸、僕の……」
自己紹介されたが緊張して途中から声が耳に入ってこなかった。
「……るけど…凪は?」
「俺も帰る。拓己、明日な」
「わかった…じゃあね」
凪、お兄さんのことを大切にしてる。
見ればわかるよ。
…でも…。
どうしてだろう?
これ以上、ここに居たくない。
早く…早く帰ろう…。
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