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第34話 『直×拓編』

side拓己 “仲良くやろう”その言葉の意味は…そのままだった。 夏休み中ということもあって、文字通り朝から晩まで遊んだ。 映画を見たり、バッティングセンターへ行ったり、ゲームセンター、あらゆる遊びを二人でした。 カラオケは自分でも歌のセンスは悪くないと自負していたが直樹もなかなかのものだった。 特にハモるのが上手くオレが勘違いするほど気持ちよく歌えた。 ぴったり重なる声…違和感がない。 それ以来、直樹の声に魅了された。 いつものように遊んでいた午後、休憩していたファストフード店で つい うとうとしてしまった。 「…で…のに…どうして…」 あぁ、直樹の声がする…。 「…拓己…」 影が近づいて額が暖かくなり、離れた。 半分眠っているせいなのか、とても幸せな気分になった。 こんな幸せな日々がいつまでも続くなんて…あるのだろうか? そんな風に思い始めた時、オレは駅の片隅で直樹と親密に寄り添う人を見てしまった。 あれは凪のお兄さん…。 間違いない、本人から挨拶されたのだから。 ぴったりと寄り添ってはにかむように笑う…オレが見たことの無い直樹…。 羨ましい…あの人のような存在になりたい…。 オレだって直樹と触れあって笑いあってみたい。 でも…オレにそんな資格があるのか…? 凪と関係を持っていたオレに…。

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