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第36話 『直×拓編』
side拓己
二酸化炭素の小さな泡が弾ける。
ファストフード店の二階でオレは光の泡を纏う氷を眺めていた。
窓から差し込む日差しが炭酸の泡を輝かせる。
はあ、とため息が出た。
好きな人には振られ、寂しさを慰めてくれた凪には別れを告げられ…また…一人になってしまった。
心が…心が辛いのだ。
必要とされたい…だからこそ、求めてしまう。
「オレが…ダメだから…だから…」
…上手くいかない…。
最後の方は言葉にならなかった。
無意識のうちに背中を丸め、両手で顔を覆う。
手のひらを濡れた感触が伝い、自分が泣いている事に気づかされた。
凪を知ってから肌の温もりが恋しくて仕方ない。
髪を、頬を 撫でて欲しい。
優しい言葉をかけて欲しい。
オレを必要だと言って欲しい…。
…でも…
所詮無い物ねだり…。
こんな拗れた奴、オレだって相手にしない。
「どうしたの?」
急に声を掛けられて体がビクッと揺れた。
泣いていたのも忘れて振り返ると…直樹がオレを見下ろしていた。
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