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第47話 『直×拓編』
拓己のベッドで少しだけうたた寝をした。
横になって休んだことで少し気分が落ち着いた気がする。
「ありがとう…拓己」
起き上がろうとする俺の肩に手を置き、拓己はそっと制した。
「無理すんなよ。まだ顔色が戻ってない」
…あれが事実なら…俺には衝撃が強すぎる…。
いや、まだそうと決まった訳じゃないよな?
「拓己は…その…弟と会いたいの?」
きょとん顔の拓己と目が合った。
「会いたいに決まってる」
俺の肩にある手に力が込められた。
「だって、血を分けた兄弟だよ?」
何故かズキン、と胸が痛んだ。
「直樹だってオレの立場ならそう思うだろ?」
あぁ、そうだ…俺だって…
「…そう思う…」
…けれど…
…それだけじゃすまない…
…兄さん…。
拓己は俺の体調を気遣って家の近くまで送ると言う。
…大丈夫なんだけど…俺が拓己ともう少し一緒にいたくて…日も傾きかけた通りを二人でゆっくりと歩いた。
…言った方がいいのか…事実を確認してから言うべきか…?
でも、どうやって事実を確認すればいい?
頭の中で答えの出ない考えがぐるぐると渦巻く。
「…た…拓己…もし俺がおと…」
「橋本!」
勇気を出して拓己に言いかけた言葉は最後まで言えずに遮られた。
正面からクラスメイトが俺を見つけて近寄ってきたからだ。
「…桜井…」
何故俺に声を掛けてきたのか…?
心当たりが…ない…
晴海のことだろうか…?
胸に秘めた小さな不安がザワザワと音をたて始めた。
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