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第66話『直×拓編』
side拓己
午後の日差しが傾く中、直樹と別れて電車に乗った。
ドアの脇に立ち車内を見渡すと、自分と同じく卒業生とおぼしき制服姿の男子とその母親らしき女性が目に入った。
腕を組み、ドアに寄り掛かりその光景を眺める。
女性に向けて微笑む彼の未来は何色に輝いているのだろう。
何も知らない他人から、オレはどう見えるのだろう。
「ふふっ」
先程の直樹の言葉を思い出して顔が緩む。
嬉しい…。
直樹は明日から暮らそうと言ってくれた。
でも…
まずは母さんと話をして、オレの気持ちに区切りをつけなければ。
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