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第71話『直×拓編』
side直樹
「直樹は先 風呂に入ってこいよ」
エプロンを剥ぎ取られ、後片付け位はするからと言われて拓己にキッチンから出されてしまった。
甘やかしたいのに、そう言われてはしょうがない。
ゆっくり湯船に浸かり、はぁ~と息を吐いた。
でも…時間はいくらでもある。
拓己にどんなことをしてあげようかと考えをめぐらせた。
タオルで濡れた頭を拭きながらキッチンを覗くと規則的に上下する背中が見えた。
静かに近づいて背中を擦る。
「たくみ、拓己…風呂は?」
「ぁ…んん…オレ寝てた?」
ダイニングテーブルに突っ伏していた拓己の頭が持ち上がり俺と一瞬だけ目が合った。
「ベッドに行こうか」
「ん~」
再び目を閉じてしまった拓己を横から抱えあげて寝室に運び、そっとベッドに下ろした。
「っん…」
ベッドの端に腰掛けて、首が苦しそうな襟元のボタンを外して緩めると拓己がころんと寝転がって腰を取られてしまった。
「かーわいー」
腰にしがみつく拓己の髪を撫でる。
額から頬、鼻筋、顎…顔のラインを辿って、それから唇…。
親指で下唇を押さえれば僅かばかり口が開き、赤い舌がちろっと見える。
俺は背中を丸めて目を閉じて…拓己の唇にキスをした。
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