165 / 179

第165話

「どういうつもりですか?」 唇が首筋を食む。 「君だって、僕に付いてきたじゃない」 ベッドに押し倒され、ワイシャツのボタンが忙しなく外されてく。 軽く飲んだ後、彼の泊まるホテルの部屋に来た。 もちろんそれがどういう意味を持つのか分かっていて。 手早く下着ごとスラックスを脱がされ、一糸まとわぬ姿にされてしまった。 「鳴海さん…」 「名前…忘れられたかと思った…」 忘れられるものか。 見上げる側で、“彼”、鳴海さんが服を脱ぎ去る。 「自分から手放してしまったけど…ずっと後悔していた」 僕より幾分逞しい腕が頬を捕える。 目を閉じ、彼の口付けを受けた。 優しいキス。 目尻や鼻先、鎖骨、身体中にキスが散らされ僕は久しぶりに感情が昂った。 「ふふ、まだ僕に期待してくれるんだ」 「ンっ…」 彼の指先が頭を持ち上げた僕の中心を撫で上げ、久しぶりに他人に触られて僕は感じてしまった。 「ぁ…もっと…触って」 先端に涙が溜まり、溢れた。 長い間自分以外に慰められる事もなかったが、触られる悦びを思い出した。

ともだちにシェアしよう!