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第177話

「あいつと会っても喋るなよ!」 晴くんの手を引き、一瞬振り向いて一方的に言い放った。 「凪…ヤキモチ?」 「そうだよ!」 図星を突かれて顔が真っ赤になる。 晴くんの事を知った風に語るアイツに腹が立つのだ。 「俺だけの…!」 今日は久しぶりに晴くんとオシャレなお店で外食して帰ろうと予定を立てていた。 でも、もうそんな事言ってられない。 「晴くん、家に帰ろう」 「凪…」 強引に…でも晴くんは何も言わず俺の手を離さないで着いて来てくれた。 「凪…そんなに急がなくても…ふふ…」 家の前まで来た所で急に晴くんの足が止まり、ガクンと腕が引っ張られる。 「晴くん!」 「だって…凪、子供みたい…」 気にしてる事を言われ乱暴に晴くんを引き寄せた。 「凪…ゴメン」 頭をいい子いい子して…マジ子供扱い! ギュッと抱きしめる腕に力がこもり、晴くんが苦しげな声を出した。 「凪…もう、大丈夫だから…」 「…ん…」 腕を緩め、でも手は繋いだまま玄関の鍵を開け、中に入る。 靴も脱がず玄関扉に晴くんを追い詰めてキスをした。

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