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第2話

「では、それなりの恰好をしないといけませんよね。朝食後はそのまま広間に行かれるということでしょうか? でしたら、朝食までに支度を調えるべきでしょうか」  毎日のことであるのに、未だ女官たちに世話をされるのは恥ずかしいのか、シェリダンは頬を紅く染めながらもアルフレッドに聞いておかなければならないことを尋ねる。 「そうだな。もう着ておいた方が楽だろう」  柔らかなバスローブを羽織り、シェリダンを抱き上げたアルフレッドは彼を私室の鏡台まで連れていき、椅子に腰かけさせる。額に唇を一つ落として、アルフレッドも身支度のために一度退室していった。同時にシェリダンの周りにエレーヌと数名の女官が集まる。 「では今日は礼装をご用意いたしましょう。お手伝いいたします」  そう言ってエレーヌは薄い紫に染め上げられ、少し濃いめの紫で柄が繊細に描かれている衣装を用意した。胸元でベルトをするが、全体的にゆったりとした衣装で、内側に着た白い衣装が首元をきっちりと覆っている。鎖骨あたりまで白く覆っている衣装は紫のゆったりとした衣装とは反対に線をだすように首元を覆っていた。銀の刺繍が施され、大粒のサファイヤが取り付けられているその衣装は清廉な雰囲気を纏うシェリダンによく似合っていた。  女官二人に支えられながら衣装を身に着け、椅子に座る。鏡に向きなおった時、まるで見ていたかのようにアルフレッドが入室してきた。  シェリダンと同じく礼装を纏ったアルフレッドは王冠こそまだ着けていないものの、軍服を思わせるデザインの、白く豪華な衣装を身に纏い、銀のマントを肩にかけている。 「前を向いていろ」  そう促して、アルフレッドは少し伸びたシェリダンの銀の髪を櫛で梳いていく。そして器用に編み込み結い上げて、最後に息を呑むほどの美しい輝きを放つティアラをのせた。 「ありがとうございます」  ほんの少し微笑んで、シェリダンは差し出されたアルフレッドの手を取る。 「レイル、今日は寂しい思いをさせてしまうと思うのですが、アンナが側にいてくれますから、今日だけ許してくださいね」  シェリダンはアンナが抱き上げているレイルの頭を撫でる。心地よさげに目を閉じて、尻尾を振っているレイルに口づけを一つ落として、シェリダンはアルフレッドにエスコートされながら朝食へと向かった。

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