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師匠
「言え、夢の中で何を見た」
「ひぃう、あぁ!」
組み敷き、三作の孔をグチュグチュと精液が泡立つほどの早さで律動する。
三作はベッドに爪を立て必死にそれを耐える。
「言え」
思考がぼやける、口が勝手に動く。
「てん・・・し」
―――天使様がいた。
「・・・はっ、やはりな。その者の名は?」
「しらない・・っ!しらない!!うぁ!」
「お前は一等だったな。それならば知らぬのは当たり前か・・・」
サタンの舌が三作の喉を舐め、血が出るほどに噛みつく。
「あっあぁぁぁ!!!」
「・・・甘い」
ぺろりぺろり。
サタンが傷口を舐め血をすする。舌をとがらせ傷口に突き刺し、傷を抉る。
それすらも、三作を興奮させ快楽に溺れた声を上げさせる。
「さ、たん・・・」
「・・・なんだ?」
「なぜ、・・・俺、なんだ・・・なん、の目的・・・でこんな・・・事を」
「久しぶりにしゃべったかと思えばまたそれか。・・・上位のエクソシストであれば誰でも良かった。釣られたのがたまたまお前だったと言うだけだ・・・まあ、これほど良い器だとは思いもしなかったがな」
「うつわ・・・?」
その言葉はこちらに来る際にも聞いた。
あの上位の悪魔。屋敷の主人に取り憑いた悪魔が言っていた。
【我らが主、器を贈ります】
「我の目的はな・・・人の世を支配することだ。・・・だが、我の容量は大きすぎて普通の人間に収めることはできん。特に悪魔に簡単に取り憑かれる人間などもってのほかだ。上位の悪魔までなら取り憑く事はできるが、最上位などはこの地獄から出ることなどできん。・・・我はそれを覆したいのだ。いままで貴様だけではない他のエクソシストを浚っては血を与え穢れさせたが、一滴ですべて死んだ。故に、お前には期待している。私が人間界へ出る足がかりになり得るお前を、な」
「・・・っ」
「血で穢し、快楽で堕とし、お前の体の支配権を奪い取り、自我をすりつぶし、お前はようやく我の人形となる。・・・その日が楽しみだな」
嗤い、三作を嬲る。
その姿は悪魔の主にふさわしい姿。
「っ!」
咄嗟に、三作は舌に歯を突き立てようとする。
しかし口に指を突き入れられそれはかなわなかった。
「死ぬことは許さん。いいな?命令だ」
「うっ・・・うぅぅ・・・」
三作は涙を流す。
己の存在がこの凶悪な存在を解き放とうとしている事を。
そして後悔をした。
支配権を奪われる前に、自害していれば良かったと・・・
「さあ、続きだ。存分に啼け」
「ひぃあ・・・ひぃ」
サタンの舌が母乳噴き出す乳首を舐める。
そしてそのまま上に上がっていき血が溢れた喉を舐め、口に到達すると三作が舌を突き出す。
無論これは三作の意思ではない。
が、端から見ると三作が望んでいるように見えるそれは仲睦まじい恋人の様にも見える。
舌に舌を絡めサタンは己の口内に舌を招き入れると歯で軽く三作の舌を甘噛みしそれに飽いたら、三作の口の中へと潜り込み上顎、舌、下顎と順に舌でなぞっていく。
三作はその行為に背筋に電流が走ったかのような快楽を感じ足をピクピクと震わせる。
「口だけで、もうこんなになっているぞ」
「あぁう!」
中心を少しばかり強く握られ、快楽とも悲鳴ともとれる声を上げる。
サタンはその声に気をよくし、強く腰を打ち付けた。
「あぅぁぁぁ!!!」
涙をボロボロとこぼす三作。
―――俺は後どれくらいこの快楽に耐えられるだろうか・・・
快楽でとろける思考の片隅でそんなことを思った。
あぁ・・・あぁ・・・
――――・・・天使、様・・・
夢の中で見たあの姿を思い浮かべ、三作は目を閉じた・・・
「何をニヤニヤしているのです?」
エルの声が暗闇に響き渡る。
「いや・・・サタンが器として選んだ人間だが・・・とても良い観察眼をしている。私を、天使だと」
「それはとても悪い目ですね。あなたが天使?別物でしょう」
「お前は目が悪いな」
「・・・それは良いとして。あちらの動向は?久方三作はどうしています?」
暗闇の中にいる何かが目を閉じる。
「まだ耐えてはいるが、そう長くは持ちそうもないな」
「急がなければ・・・なりませんね」
エルが片手を振るうと、暗闇の中にいた何かの気配が遠ざかる。
「間に合わなければ・・・―――――――」
「兄貴ぃ・・・何処行くんだよ。特等になるにはそれなりの審査と経験がいるんだぜ?そんなすぐにとれる訳ねぇーだろ」
弐湖はブツブツと言いながらも日本支部内をずんずんと歩く兄の後に律儀に続く。
「お前は・・・三作が心配じゃないのか」
「ぶっちゃけ言うと三作の件にサタンが関わっていると言われても現実味がねぇし・・・三作の野郎ならけろっとして帰ってきそうで・・・」
「・・・電話をした」
「は?」
「師匠に連絡した」
「・・・」
弐湖は顔を真っ青にした。
「俺ら死んじゃうじゃんか!!!!!」
「大丈夫だ。三作を助けるまで俺は死なない」
「兄貴男前をここで発揮するなよていうか冗談言ってる場合じゃねぇんだよなんで師匠に連絡すんのあの地獄の日々からようやく独り立ちできたってのにまたなんであの地獄の日々に突っ込まなきゃいけないんだよこれも三作のせいかいっつもそうだ三作はかわいがられ兄貴は鍛えられ俺はいじめられ師匠はそれを楽しみそんな屈辱と恐怖とほんのすこしの涙に溢れた生活に戻らなきゃいけないとかほんとに何の冗談だぁぁぁぁあああああ!!!!!」
(一息でいった)
一の肩をつかみガクガクと揺さぶり恐怖に震える弐湖。
それをみてそういえばこの弟はあの師匠が大の苦手であったなと思い出す、一。
「大丈夫だ。師匠には今から上位の悪魔を祓うのに同行してもらうだけだ。お前の大好きな拳での語り合いだ」
「うぅ・・・・」
「泣くな。これも、三作のためだ。まあ正確に言えば・・・特等昇格試験を師匠にお願いして実施してもらうこととなったというわけだが」
「なんで師匠に頼んだんだよぉ・・・」
「俺が知っている特等はこの前会ったエルさんと師匠しかいなかったからだ。エルさんは連絡先を知らないから論外、残るは師匠しかいないだろう?」
完全にノックアウトされた弐湖は地面にうつ伏せに倒れる。
そこに一つの足音が近寄る。
「じゃーま♡」
「ぎゃ!?」
さくりっ。
弐湖の頭が何十㎝もあるヒールのある靴に踏みつけられる。
そして頭から血を噴き出し黒髪を赤に染め上げる。
「し、師匠」
「こんな人目のつくところで何やってんのあんた達ぃ。これじゃあ私の監督責任とか言われるじゃない♡殺されたいのか」
最後だけやけにドスがきいた声だったが、その声に踏み潰された弐湖はバイブのように震え出す。
特等エクソシスト、三谷笹目騎(みつや ささめき)。日本支部にいる唯一の女性特等エクソシストで久方三兄弟の育ての親&師匠である。悪魔狩りと退魔士という特殊な資格を持つ世界でも珍しいタイプのバランス型エクソシストである。
「で、聞いたわよ~。三作がドジ踏んだそうじゃない♡。こいつ(弐湖)はともかくとして~、あなたは長男だし責任の強さから、三作を助けようとして昇格試験を受けて特等機密の情報を知りたいと言ったところかしら?」
「はい」
「で、あんたは」
「おふぁじく(おなじく)」
「よろしい♡。では、今から特等昇格試験を行う。ターゲットは上位悪魔13体、期限は3日。まあ死ぬ気で頑張りなさぁい♡」
ポニーテールに結った髪を触りながら三谷は言い放つ。
「上位を探すのも~、剥がすのも~、殺すのも~組織の力は借りてはだぁめ♡自分の力で探し出して仕留めなさい?♡」
こうして一と弐湖の特等昇格試験は始まった。
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