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第6話

「オマエ、学校はいいのか?」 嫁にするしないを繰り返した末に、その気にさせると言って毎日のようにリクは、テオの部屋に訪れていた。 リクが飲んでいる抑制剤には、フェロモンを抑える効果もあるらしく、テオも大分落ち着いて話が出来るようになっていた。 「家を離れて、テオさんが居なくなったら嫌ですから。それに学校の勉強は取り戻せますから」 テオが座っているソファーの隣に座って、おずおずとその手を握る。 「……勝手には居なくはならねえよ。腹の中のこともあるしな。オマエも学校には行けよ。俺をサボりの言い訳に使うんじゃない」 やはりアフターピルは効かず、既に妊娠をしていることが分かり、テオは漸く観念して子供を産むまでは世話になることにしたのだ。 この家には主治医がいるので、身分証がなくても出産は可能だという執事の言葉に言いくるめられたのが大きかった。 まあ、終わったことをネチネチ言うのも好きじゃない。 それに顔を見ると嬉しそうに笑顔を見せるリクに、テオも可愛いなと絆されかけている。 リクは12歳でテオとは6つも歳が離れている。 ……弟だと思えば可愛いものなのだけどな。 「僕が成人したら、お嫁さんになってください」 「しつけえな。番ってだけでよくねえか?家のしきたりとかで結婚か必要なら、俺はまあ、愛人みたいなやつでいいし」 同じ話を何日も続けていて、テオは嘆息して手を伸ばしてリクの頭に乗せる。 「まだオマエはガキなんだから、色んな出会いも可能性もある。許嫁もいるんだろ?俺は元々アルファの世話になんかならねえって家出してきたんだから」 「僕は、貴方がいい。貴方が好きだ。貴方じゃなきゃっ……」 必死に泣きだしそうな顔で言い募る言葉を遮るように、リクの頥を掴み寄せてテオは唇をゆっくり重ねてちゅっちゅっと吸い上げる。 顔を真っ赤にして、目を潤ませるリクの頬を撫でてテオはゆっくりと離す。 「じゃあ、泣いてねえでオマエが俺を惚れさせてみせろよ。待っててやるからさ」 「……はい……絶対に……」 顔を紅潮させたまま頷いたリクの頭をわしゃわしゃと掻き混ぜるように撫でて目を伏せる。 引く手数多なアルファは、余程惚れさせなくては、目移りされてしまうと同級生たちは言っていた。 そんな自信も努力をする気持ちもテオにはないので、目移りされても仕方がないなと考える。 コンコンと部屋のドアをノックされて、執事かと思いハイと答えると、ドアが開き執事ではないが、見目の良い40代後半の男性がセンスの良いスーツ姿で入ってきた。 「父様……」 どうやら、リクの父親らしく貼り付けたような嘘っぽい笑顔でテオを見返した。 「こんにちは。君がテオ君だね……話は聞かせてもらったよ。結婚は璃空の成人後にはなるが、君の両親にも話はさせてもらったよ、鹿狩照生(かがり てお)君」 テオは目を見開いて、隠していた本名を口にしたリクの父を睨みあげた。

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