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第3話 たまには

中間テスト最終日の今日は授業がなく、放課後に早速テストの採点をしていた。 ―――ホント、ひどいな。 うちのクラスの答案のバツの多さに、瞬の口から思わずため息が出る。 わが校は1組から4組までが普通クラス、5と6組が理系クラス、7組が体育クラス、8組が音楽クラスになっている。 瞬が副担任をしているのが3年の7組で、クラスの大半が『筋肉バカ』だ。 体育クラスの割合的には、サッカー部が6割で、バスケットボール部と陸上部が各々2割程度。そのどの部も全国へ行くほど強く、特にサッカーは毎年実績を上げている。 ほぼ休みなく毎日、早朝から日が暮れてもボールを追いかけ走り回り―――、それはそれは純粋に凄いと思う。瞬には到底、真似できない。 しかし、だ。 代わりに勉強の方はと言うと、空の彼方へ放り投げてしまっており、毎回わが校の偏差値を下げまくっている。 皆がみなスポーツ選手としてやっていける訳ではないのだから、社会人になった時に困らないくらいの一般教養は身に付けて欲しい。 ―――こいつは別格だけど。 西倉の答案にバツを付けながら思う。 主担任によると、すでに今の時点で、いくつかのJリーグから声がかかっているらしい。高校を卒業したらプロに入り、数年後にはレギュラー入りして、もしかすると世界へも出ていくかもしれない。 西倉の輝かしい将来を思い浮かべながら、ぼうっとしていると、ぽんっと肩を叩かれた。 「佐々原先生。」 同僚の高木悟志が真横に立っていた。数学が担当教科で、6組の担任だ。 「高木先生、どうしました?」 「今日、お暇じゃないですか?久しぶりに一緒に飲みません?」 うちの先生たちの中で、高木とは1番歳が近く、プライベートでも仲良くしている。しかし、ここしばらくは飲みに行ってなかった。 「いいですよ。テストの採点を終わらせるつもりなので、もう少しかかりますが。」 「大丈夫です。私も終わらせるつもりなので。そのまま行きましょう。―――ああ、西倉ですか。」 瞬の答案に目を落として、高木が言う。 「7組の子たち、がんばってますね。数学も赤点、少なくなりましたよ。」 「せっかく居残り勉強してますしね。私としては、赤点自体を、取らないで欲しいのですが。」 瞬が苦い顔をすると、ははっ―――と、高木は他人事に笑い、自分の机に帰って行った。

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