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さようなら~別れの時。

 しかし彼は首を振ると、ウェリーを横抱きにして寝室へと運ぶ。  彼は優しい。たとえ卑しいオメガの性を持つウェリーに対してでさえも自分の欲望を抑え込み、こうして思いやる。  けれどもその優しさは時に、ウェリーを苦しめる。  ……ダメ。泣きそう。 いっそのこと、奴隷のように扱い、酷く抱いてくれればこのような気持ちになることもなかったのに……。  ウェリーは溢れ出てくる涙を堪えきれず、彼の肩口に頬を寄せる。  その時だ。ウェリーはチュニックに付いているものを発見した。  胸元よりも少し下。  そこに赤い染みのようなものが見えた。 (これは紅……?)  もしかすると、もう彼は意中の女性を見つけたのかもしれない。  疲労しているからと自分を抱かないのは、もう誰か別の女性を抱いた後だからということではないか。  ああ、不安に思っていたことがとうとう現実になってしまった。  ーーもう、傍にはいられない。  ウェリーは深く目を閉ざし、屋敷を出る決意をした。

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