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別れ~役立たず。

 ウェリーは力なく(くずお)れた。 「っひ……うう……」  静寂の中、自分の嗚咽ばかりが響く。  しかしそれも長くは続かなかった。  ウェリーの肩にあたたかなコートがかけられたからだ。  はっとして顔を上げると、そこには整った双眸の彼がいるではないか。 「こんな寒い日に薄着で……ウェリー、ぼくに不満があるなら言ってくれ」 「! どうしてっ!?」 (ここにいるの?) (眠っていた筈じゃ!)  しまったとそう思ってももう遅い。  こっそり寝室を抜け出したことがバレてしまった。  これではゼフィールの幸せが消えてしまう。  オメガの自分さえも対等に扱ってくれる心優しいゼフィールに不満なんてあるわけがない。不満があるとすれば、彼にではなく、何ひとつ役に立たない自分に、だ。 「……っつ!」  自分は何故、オメガなんだろう。  せめてアルファであれば、ゼフィールと対等だったのに――。  ウェリーは有り得ないことを願ってしまう。

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