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第21話
なんだかんだ話ながらも、俺たちは目的地の雑貨屋へと辿り着いたけれど。なんともメルヘンチックな外観と店内に、俺は早くも居心地の悪さを感じている。
「ほらぁー、すごい可愛いオカメインコでしょ?」
そんな俺の心情などどうでもいいのか、光は商品の一つを手にとりオカメインコのぬいぐるみを愛おしそうに見つめていて。
「お前が本当にそれが欲しいなら買ってやるけど、ソイツでいいのか?」
同じ創りのオカメインコは全部で八匹、一匹ずつ微妙に表情が異なって見えるぬいぐるみだが。
「うん、この子がいい。この子の顔ね、俺が大好きなユキちゃんにそっくりだから……」
そう言って上目遣いで俺を見つめる光は、黙っていたらすごくキレイなのに。俺を揶揄って遊びたいだけのこの男は、俺に似ても似つかないぬいぐるみを俺の肩に乗せてくる。
「……お前、わざとだろ。こういうことは女にやってやれ、俺で遊ぶんじゃねぇーよ」
「あー、バレてた?でもいいじゃん、デートだし。その子さ、誕生日プレゼントだからラッピングしてもらってね。それじゃあ俺は、御手洗いに行ってきまーす」
頬がピンク色のオカメインコを肩に乗せられたまま、俺は店内に独り残される。この状況でトイレに向かった光を恨みつつ、俺はレジに向かうと会計を済ませて店員の人にラッピングをお願いした。
ラッピングに少し時間がかかることを案内され、俺はその時間を利用し店内を見て回る。しかし、こんなメルヘンチックな店で、男一人はさすがに落ち着かなくて。
元いたぬいぐるみコーナーに戻ってきた俺の目に止まったのは、真っ黒な猫のぬいぐるみだった。
……この猫、星にそっくりだ。
けれど、サイズがでかい。
今日は光が一緒だし、こんなものを買ったって光に知られたら。俺はしばらくの間、アイツの笑い者確定だ。
今日のところは買うつもりはないが、取り置きしてもらえるなら購入したい。
俺がそう思ったとき、丁度いいタイミングで店員の人が寄ってきたから。俺はラッピングされた商品を受け取り、ついでに猫のぬいぐるみの取り置きの確認と支払いを済ませて店を出た。
1週間以内なら、取り置いてくれるそうだ。
星に似たぬいぐるみは、光がいないバイトの帰りにでも取りにくるとして……俺は早く、このオカメインコとサヨナラしたい。
そんなことを思いながら店の外で待機していると、用を済ませた光が俺に手を振りながらやって来た。
「これ以上は、来年まで何も買わねぇーぞ」
とりあえず、俺が光にプレゼントとやらを手渡してやると。光はソレをしっかりと受け取りつつ、向かいのスイーツ店を指さして。
「わかってるよ。まだちょっと時間あるし、ケーキ屋さん寄っていい?」
「お前さ、結局おやつの時間じゃねぇーか」
そうは言いつつ、俺は光に連れられスイーツショップに入店した。光がケーキ屋に寄ったのは、どうやら星へのお土産を買うためだったようで。光は星が好きだというシュークリームを購入し、その後、俺は光のショッピングに無理やり付き合わされていた。
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