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第163話

「…あっ、ちょっと…汚ぃ、ですっ!」 反応を楽しみながら、時間をかけて愛撫した星のカラダに最後の快楽を与えてやるために。俺の上に跨っていた星をベッドに縫い付け、俺は今、震える星のモノを咥え込んでいる。 「んっ、そんなコトしちゃだめですってっ!白石さん、口離しっ…ンッ、ぁ」 愛おしすぎて、全てを喰い尽くしたくなる感覚は、星が俺に与えた代物だ。プレイとしてではなく、隅々まで愛してやりたい、なんて。 この行為を星が本気で拒否するならば、俺は大人しく身を引くけれど。 「あぁ…ンっ、はぁ…」 なるべく優しく口に頬張り、星が感じやすい箇所を舐め上げてやると、星は顔を隠して脱力していくから。 「いい子、星くん」 一旦、口を離して俺が告げると、星は表情を見せないまま片手で俺の腕を握る。俺はその手に指を絡めて握り返し、再び星を快楽の渦へ巻き込んだ。 「やぁッ…ん、ァ」 気持ち良さに身を委ねた星の腰は揺らぎ、俺の動きと相まって新たな快感を生む。 「ぁっ…ッ、そこ…だめッ、ぇ」 男のモノを口に含む行為なんざ、星以外で考えられないし考えたくもない。俺も初体験の行為なのだが、乱れ切った星の姿に興奮は冷めないどころか高まってゆく。 「もっ…でちゃうッ、からぁ…」 云われずとも、張り詰めた星のモノの感触で充分に伝わる吐精の予感。しかし、今の状況ではソコに行き着く勇気がないらしい星は、俺の髪を強く掴むと必死になっている。 「くちッ…離し、てぇ」 ……そんなつもり、更々ねぇーよ。 内心で告げた言葉は、星に届かない。 けれど、言葉で伝えるよりも行動に移した方が早いこともある。 「ッ…ちょっ…も、ムリぃ」 これ以上の快感に流されぬよう、星の腰は引けるところのギリギリまで引いているが。俺はその腰を片手で押さえ付けると、ヒクつく星のモノを喉奥まで詰め込んだ。 「ぁッ…ん、ぅ…ッ!!」 声にならない声を上げて果てた星は、肩で息をする。俺はというと、口内で溢れ出した欲の味を確認しつつもゆっくりと口を離して。 ……コレなら、余裕だ。 そう感じた瞬間、俺は出された雫を余すことなく飲み干していた。 そのとき、僅かに俺と星との視線が交わり、流れていた時間が止まる。もう既に、口内には何も残っていないことを知らしめるように俺はわざと舌を覗かせた。 「…ッ!」 すると星は耳まで赤くなり、息を呑む。 互いに熱が冷めやらぬ姿をその目に映したけれど、星は堪らず潤んだ瞳を逸らしてしまった。 どこまでも煽られる反応をされ、俺は濡れた唇を手の甲で拭うと、自分の欲が露わになるのを感じて息を吐く。 このまま、喰い尽くしてしまいたい。 形振り構わず襲ってしまおうかと……一瞬、俺は伸ばしかけた手を止めた。 焦らず、ゆっくり。 時間を掛けて、星との関係を築いていこうと俺は決めたはずなんだ。それでなくとも、星はすぐにキャパオーバーしてしまうから。 けれど、きっと。 どこまで愛しても、足りないのだろう。 この先、もしも星と繋がる未来がきたとしても。好きな相手を気持ち良くしてやることで満たされる欲は、星じゃなきゃ埋められない。

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