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第178話
男同士、そのハズなのだが。
光が美人すぎて、あまり現実味を感じない俺がいる。
……でもまぁ、ノウコウナキスデスコト。
俺は煙草を咥えて星の髪を撫でつつも、友人二人が交わす口付けをジト目で眺めていた。
正直、光と優ができていたところで俺にはどうでもいい。二人の関係性をダラダラと話されるよりかは、見れば分かる状況で勝手に理解する方が手っ取り早い。
しかし、今はそんなことよりも。
可愛い仔猫が、安心して眠っていることに俺は胸を撫で下ろしていた。
……こんなん観せられたら星くんきっと、自分のことじゃないのに恥ずかしさで号泣すんぞ。
触れ合うだけのキスでさえ、星は真っ赤になって恥じらってしまうというのに。恥じらうどころか、これみよがしに優とのキスを楽しむ金髪悪魔が星の兄貴という事実に苦笑いが漏れる。
けれど、見ているだけなら申し分ないほどに絵になる二人のキスはキレイだ。だが、ソレ以上でも以下でもなく、もちろん俺の下半身に響くものもない。
俺にとって、星だけが特別なんだと。
俺がそんなことを再認識していると、微かにリップ音が鳴った。
ようやく、離された二人の唇。
互いに上がる口角は、おそらく終わりの合図だろう。少し潤んだ光の瞳を目に入れ、満足そうに微笑んだ優は光の肩を抱いた。
「……こういうこと、だ。雪夜、これからもよろしく」
「ん、よろしく」
俺は煙草の煙を吐きながら、優に返事をする。俺と優のやり取りが気に食わないらしい光は、妖艶な表情で優に問い掛ける。
「ユキの前で随分と大胆なコトしてくれたねぇ、優……今日、このあとどうなるか分かってるんでしょ?」
「分かっているが、それがナニか?」
光の鋭い視線を受けても、何食わぬ顔をして眼鏡を指の腹で押した優。
「……あんさ、俺は二人の世界に興味ねぇーから。このあと、優が光に縛られようが、鞭で叩かれようが、蝋燭垂らされようが、色々ヤんのはこっから出たあとにしてくれりゃそんでいい」
とりあえず、星の前でおっ始めることがなければお好きにどうぞ、なのだけれど。
「高校んときって、お前ら二人とも彼女いただろ。いつから、その関係なワケ?」
ふと疑問に思って俺がそう尋ねると、先に口を開いたのは優だった。
「雪夜と出会う前からだ。世の中に受け入れられる関係じゃないことは理解していたから、彼女はカモフラージュ」
「シークレットは貫かないと、意味ないからね……まぁ、ユキにはバラしちゃったけど」
「いくら光と俺の仲が良くても、互いに女がいれば怪しまれない。実際、一番近くで俺たちを見ていた雪夜も気づかなかったからな」
「まぁ、俺は人に興味ねぇーからな。よくできた服従関係くらいにしか思ったことなかったわ」
「ユキがせいに本気で惚れなきゃ、本当にこのまま話すつもりなんてなかったんだけど。適当に女相手してたユキが、初めて愛したいと思った相手、まさか弟とはね」
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