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第190話
荷物整理をしている星の後ろで、紙袋の中身を確認した俺は大きな溜め息を吐く。
コンドームと、使い切りタイプのローションが三つずつ……って、ゴムもローションも持ってんだけど。
自分たちがカミングアウトしたからって、あの金髪悪魔は随分と調子に乗ったようだ。悪い冗談だと思いたいところではあるが、もし仮に冗談じゃないとするのなら。
……兄貴公認で、ヤってOKってコトか?
そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか荷物整理を終えた星がステラを抱えて俺を見ていて。
「白石さん、えっと……ソレ渡すときに、星をよろしくお願いいたしますって伝えてねって、兄ちゃんに言われてたの忘れてました」
「あー、ヨロシクオネガイサレマス」
とりあえず返事をし、紙袋ごとクローゼットに押し込んで。コーヒーとカフェオレが入ったマグカップをテーブルに置いた俺に、星は空かさず問い掛けてくる。
「兄ちゃんから、何もらったんですか?」
ソファーに腰掛けた俺と、首を傾げる星くん。
「別に、大したモノじゃねぇーよ。それより、星はこの3日間でしたいこととかあるか?行きたい所とか、なんでもいいけど」
中身がナニか、なんて。
この仔猫に言えるわけがない俺は、話題をすり替えた。すると、俺の隣に座った星はマグカップを持ち少し考えてから声を出す。
「白石さんと一緒なら何でも……あ、白石さんと行った公園、もう一度行きたいです。のんびりお散歩、したいです」
「公園……あぁ、池のある公園な。明日の天気確認して、晴れだったら行ってみるか」
前回は、ゲリラ豪雨に見舞われて散々だった場所。成り行きで考えるなら、好都合だった公園。特にすることがある場ではないが、のんびりと過ごすなら悪くはないところだ。
そう思いつつ、スマホで明日の天気を確認した俺は、晴れの予報に安堵する。俺がスマホを見ているあいだ、星は何か言いたげな様子で。
「……あのっ、白石さんはオレにしてほしいことありますか?オレにできることがあれば、ですけど」
最後のほうは尻窄みして、声はかなり小さくなっていたけれど。勇気を出して尋ねてくれた星に、何か応えてやりたくて俺は頭を捻る。
してほしいことは特にないが、シたいことやヤりたいことは山ほどある。けれど、どれも純粋で不純な行為ばかりが浮かんで。
その中で、なるべく星が受け入れやすくて尚且つ頼みやすい行為を見つけた俺は、煙草の火を消し呟いた。
「んー、あ……いいこいいこ、とか?」
俺の言葉に驚いたような表情を見せる星だが、何故かその後、すぐに嬉しそうにふにゃりと頬を緩めて笑った。
「白石さんが、いいこいいこって……なんか、とっても可愛いです。もちろん、いいですよ。あ、でも白石さん背高いからやりにくいので、こっちきてください」
星はステラを置くとポンポンと自分の膝を叩いて、こっち……と、俺に目線で合図する。その姿があまりに可愛くて、俺が甘えるよりも、俺はお前を犯したいと思った。
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