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第197話
「でも、じゃねぇーんだよ。お前が無理してまで俺に合わせなくていいし、俺はお前しか見てねぇーから不安に思う必要はないってコト」
「だって……それじゃあ、白石さんはっ」
それじゃあ、白石さんは気持ちよくなれないじゃん……って、言おうとしたオレの言葉を白石さんは遮った。
「あーもう……ったく、じゃあさ、星くんは俺とどうなりてぇーの?」
半ば強引に、白石さんからオレに与えられた思考時間。頬を伝うオレの涙を指で何度も拭いながら、白石さんは優しい声でオレに尋ねてくれる。
「どうって、ずっと一緒にいたいです。オレ、白石さんが大好きだから、白石さんに触れていたい。できることなら……その、繋がりたいです。白石さんの全部が、欲しいから」
気持ちを声に乗せたら、溢れる想いがまた涙となって流れていく。なんでオレは白石さんと一緒にいると、こんなに泣き虫になっちゃうんだろう。
「でも、オレも白石さんも、同性だから……だから、男女のような方法なんてないじゃん。だけどね、オレだって白石さんに気持ちよくなってほしいもん」
白石さんは、オレをあやすように優しく背中を撫でてくれるけれど。
「ありがとう、星。でも、今は気持ちだけもらっとくな」
なかなか涙が止まらないのに、オレがこれでもかってくらいに白石さんに抱きついて話すから。そんなオレに、白石さんは困ったように笑って、ボソリと呟いた。
「まぁ、できねぇーワケでもねぇーんだけど」
「ん、けど……なんですか?」
「俺だって、本当はお前と同じ気持ち……ただ、な」
白石さんの呟きを聞いたオレは、その意味を知りたくて問い掛けたけれど。随分と歯切れが悪い返答に、オレはモヤッとして。
「なんか、白石さんらしくないです。あの、はっきり言ってください」
鼻を啜りながらも、オレがそういうと。白石さんは、小さく溜め息を吐いたあとに声を出した。
「ヤれねぇーコトもねぇーんだ。ただ、俺も星も男だから……繋がれる場所が、その……ココで、すんだよ」
白石さんはそう言いつつも、オレの背中からゆっくり手を滑らせて。そうして、そっとオレのお尻に触れたんだ。
「いや、え、挿れる場所じゃないけど……穴、ん?オレが、白石さんのお尻に挿れるってコト?」
オレが言った言葉に、白石さんは一瞬キョトーンとしていきなり大きな声を出した。
「……ハァッ?!ちげぇーよッ!逆だッ!逆!!俺が、お前のケツに突っ込むのッ!!」
「えっ、はぁ?!ちょ、ケツとか言わないでください!!」
「お前がはっきり言えっつたんだろーがッ!! 俺はお前のために、言葉を選んで言ってやろーとしたのに!」
「だってなんか、はっきりしないのって白石さんらしくなかったんですもんっ!!」
「あーそーかよっ!! んで、ケツって言ったら怒られんのか。ひとつになりたい、繋がりたいっつたってなぁー、そんなキレイなコトじゃねぇーんだよッ!!」
「だってっ!無理だと思ってたんですもんっ!できるなら綺麗とか汚いとかっ、そんなコト関係なく、オレは白石さんとひとつになりたいんですっ!!」
……って、オレ。
なんかすごいコト言っちゃった、かも。
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