オレの髪に触れていたはずの白石さんの手がそっと耳に触れて、その音を塞ぐから。角度を変えて絡められる舌に、頭に響く湿った音がオレの身体を熱くさせる。 「あっ、はぁ…」 つい数分前まで、オレたちが騒いでいた部屋なのに。今はオレの吐息と、白石さんの呼吸音が言葉なく重なっているだけ。 それだけなのに、こんなにも愛おしい。 「すげぇー良さそうな顔してんね、星」 「だってぇ、ん…ッ」 オレが口を開いても、上手く言葉にならない。 白石さんの甘い眼差しで見つめられて、オレの瞳は勝手に潤んでしまう。さっきあれだけ泣いたのに、オレの身体はおかしくなってしまってんだ。 オレが望んだコトなのに、恥ずかしさにはまだ勝てない。離された唇で耳を甘噛みされ、首筋を舐め上げられて。我慢したくても漏れ出る声が恥ずかしくて、オレは思わず白石さんの名前を呼んだ。 「白石、さんっ…ん、あっ」 「……可愛すぎ」 チュッと音がし、時折チクッと痛みが走る。 耳に首筋に、何度も白石さんの唇が触れて。耳に掛かる吐息と、白石さんの囁く声にオレの身体はどんどん溶かされていく。 「あっ、んぁ…」 その刺激に耐えられなくて、オレは白石さんのふわふわな髪を掴んでしまった。そうしていないと、意識を保てそうにないほどに、今日の白石さんは刺激が強いから。 「もう腰、揺れてんだけど」 「ンぁ、言わない…で」 「あんなコト言っといて、今更だろ」 言葉は意地悪なのに、向けられる視線は熱くて、触れている手はとても優しくて。オレの脳は壊れたコンピューターみたいに、処理落ちしてしまいそうなのに。 白石さんの空いている手が、スルリとオレの服の中に滑り込んで。素肌を撫でられたオレは、ぴくっと反応する。 「星くんさ……ココ、好きだよな」 白石さんはそう囁きながら、揺れるオレの腰をゆっくりと撫で回してきて。淡い刺激なのに、ピリピリと、身体中に電気が走っていくような感覚に堪えきれず、オレは背中を反らせ、唇を噛む。 「ひゃっ、ンンッ！」 気持ちよさと恥ずかしさに塗れて、オレは白石さんに戯れるがまま。 「ん、ぁ…だめっ」 「だから、聞かねぇーっつったじゃん。良い声で鳴けんだから、ちゃんと聴かせろ」 「でもっ…ん、恥ずかしいッ」 「恥ずかしいってのは、お前にとってすっげぇー気持ちイイコトの裏返しだ……まぁ、嫌でもカラダに覚えさせてやるよ」 腰と耳、オレの弱い部分なんて自分でも知らなかったのに。白石さんにたっぷりと可愛がってもらった箇所は、オレが思っている以上に素直な反応を示そうと必死で。 「やッ…ぁ、両方っ、一緒…だめっ」 「イイって……言ってみろ、星」 オレの耳に唇を寄せ、そう呟いた白石さんの声に身体が震えてしまう。 「ん、あぁッ！」 今までの白石さんが、オレに合わせて加減してくれていたんだって。ソレを強く感じる愛撫に、白石さんが言っていた言葉の意味を知る。 大切に、大事に。 オレは、本当に白石さんから愛されていたんだ。