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第203話
清々しく、爽やかな朝を迎えて。
幸せを噛み締め、笑い合う二人の姿がそこにはあった……なんてことはなく。
現実は、ブランケットに包まって起きているのに顔を見せてくれない星と、その横で煙草を咥える俺の図だ。
星のカラダは後始末がちゃんとできていたのか、腹の不快感はないらしいが。やっぱり腰は痛いと言ったので、そのままベッドに転がしている。
しかしながら、しっかりと受け応えはしてくれるものの。恥ずかしがり屋の仔猫は、なかなか顔を見せようとはしないのだ。
「星、いい加減ちゃんと顔みせろよ?」
昨日は、とても素直に快楽に溺れていたのに……いや、溺れていたからか。ミノムシを通り越し、俺の恋人はサナギになってしまった。
「嫌です、だめです、無理ですって!あ、ちょっともうやめてくださいっ!!」
ブランケットを無理矢理引き剥がして顔を見ようとしたけれど、星はそれでも顔を手で覆って俺を見ようとはしない。
「………昨日も言ったけど。俺、その手の類の言葉は聞かねぇーから」
「だってっ、恥ずかしいもんっ!白石さんの顔なんか、オレ見れないですっ!!」
……顔なんかって、なんかって、なんだよ。
「お前は本当に、よくわかんねぇーヤツだな。昨日はあんなに自分から、ひとっ……」
「うわぁーっ!!もう、言わないでくださいよっ!白石さんなんか嫌い!大っ嫌いですぅー!!」
「星、拗ねんな。昨日の今日で嫌いとか言うなよ、さすがの俺でも傷つくっつーの」
昨夜に星がつけた生傷はあるが、こんなことで傷つくほど俺は柔じゃない。拗ねたら単語の語尾を伸ばす星の癖は可愛いから、コレはコレでアリだと思って頬が緩むけれど。
「まぁ、そんなに見たくねぇーならいい。ほれ、ブランケット返す。ついでにステラもやるよ、お前好きだろ。ステラは何にも言わねぇーもんなぁ……ぬいぐるみだから、星が嫌いな俺と違って、お前に恥ずかしいコト言ったりヤったりしねぇーし」
俺は星にそう言って、ブランケットとステラを星にポイッと投げると煙草の煙を吐いていく。
「ステラはふわふわで肌触り良くて気持ちいいから、俺とナニして抱き合うよりも、星くんはステラを抱いてるほうが幸せなんだろ」
そんな思ってもないコトを言ってみたとき、星が俺の腰に抱きついてきて。
「あの……ごめんなさい。オレ、恥ずかしくって……嫌いじゃないから、白石さんのコト大好きだから……その、怒っちゃ……やだ」
相変わらずボソボソと、小さな声で話すけど。
可愛いことしてくんのも、星らしさだから。
俺は無言で、吸っていた煙草の火を消すと腰に回された腕を掴んで、そのままくるっと向きを変え、星をベッドに縫いつける。
「やっぱり、怒って……うわぁっ!」
泣きすぎたせいで真っ赤に腫れた目元が少し痛々しいが、愛らしい顔は相変わらずだ。
「ん、やっと顔見れた。別に最初から怒ってねぇーよ。せっかく一緒にいんだから、目覚めのキスくらいさせろ」
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