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第204話

「ん、ぁ…」 「星、よく頑張ったな」 小さなカラダで俺を受け入れてくれた星に、本当は昨日のうちに言ってやりかった言葉を告げる。 「白石さん、大好き」 俺が怒っていないことに安堵したのか、星は頬を緩ませ最高の笑顔を向けてきて。寝起きの反応と打って変わって、幸せオーラ全開で星は俺に抱きついてきた。 「ん、俺も好き」 俺は、朝からこんなに幸せでいいんだろうかと疑問を抱いてしまいそうなほどに、穏やかで柔らかな時が過ぎていく。 このまま星と二人で二度寝するもの悪くない、なんて。そう思いつつ、俺は星の隣で横になると抱きついている仔猫に腕枕してやった。 「オレ、この体勢好きなんです。白石さんが近くにいてくれて、とっても安心できるから」 「お前が気に入ってんならよかった、俺もすげぇー落ち着くし」 腕枕の姿勢のまま、向かい合うように体勢を整えて。お互いがリラックスできる位置に落ち着いたとき、星はポツリと呟いた。 「あの、白石さんは……ちゃんと気持ちよく、なれましたか?」 俺の腕の中に収まり、上目遣いで尋ねてくる星は可愛いすぎるけれど。 自分に向いたエロい内容は恥ずかしさで死にそうになるのに、俺には平気な顔をして良かったか訊いてくるって。 ……コイツの羞恥心、どうなってんだ。 「すげぇー気持ちよかったに決まってんだろ、気にしてくれてありがとな」 可愛らしい仔猫の頭を撫で、俺は感謝を伝えてやる。 言い合う前から気づいていたが、星はずっと、自分だけがイクのは寂しかったんだろう。一緒に気持ちよくなってほしい、なんて……まさか、星のほうからあんなにも求めてくれるとは思っていなかったけれど。 「白石さんがよかったなら、オレもよかったです……あ、でも」 「でも?」 口籠もってしまった星の言葉の続きが気になった俺は、星に聞き返す。もしも、これでダメ出しをされたら俺はとてつもなく格好が悪い。 だが、しかし。 男相手にするのは星が初めてなのだから、初体験を考慮してくれ……と、心の底にいる俺が呟いたけれど。 「……恥ずかしかったのはもちろんなんですけど、オレ……その、気持ち良すぎて、あんまり覚えてないんです」   俺が予想していた感想とは、真逆の方向に走り去っていく星からの言葉に思わず笑みが漏れる。 「だから、もったいなかったなぁって……朝起きて、隣で寝てる白石さんを見てそう思ったんですよ」 つまりは、だ。 すっげぇー気持ちよかったから、最後まで記憶があるまま俺と乱れて果てたかった、と。そんなことを考えていたら、昨日のことを思い出して、恥ずかしくなって、オレはサナギになりました、と……そんな感じの、事後報告。 ……なんとまぁ、エロくてありがたいお言葉を俺は頂戴したもんだ。 「これからは、たくさんシような」 「えっと……体力つけなきゃ、です」 ちゃっかり肯定の意味を持つ言葉を送られて、あまりの可愛さに俺は星の額にキスをする。恐ろしいほどの天然誘い受けに、俺はもう頭が上がらなかった。

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