220 / 952
第220話
【雪夜side】
色々と怪しい関係の友人二人を残して、俺は二階へと向かった。
階段を登り、シャワー室とトイレの場所を確認し、真正面の部屋に入ると。畳の部屋にシングル布団が二つ、キレイにメイクされた状態で敷いてあった。とりあえず荷物を置き、その部屋からバルコニーへ出ると、俺は煙草を咥えて火を点ける。
ようやく吸えた一本を堪能しつつ、微か潮風の心地よさを感じて。俺の後ろからついてきた星も一緒にバルコニーへ出てくると、星は俺の隣で空を見上げいた。辺りは真っ暗で、小さな星の光がキラキラと輝いているのがよく見えるけれど。
「さっき、なんであんなコトしてきだんだよ?」
俺の隣で夜空を見つめる星に、俺は問い掛けた。初めて飲んだ酒で酔ったのか、悪魔二人の悪戯に耐えきれなくなったのか……おそらく答えは前者だろうと思いながら、俺は星の返答を待ったけれど。
「なんでって、なんででしょうね?」
ふふっと笑って細められる瞳に、少し挑発的な星の態度。いつもの恥ずかしがり屋で照れ屋な星は、俺の隣にはいなかった。
でも。
「白石さん……まだ、してくれないの?」
ニィと笑って強請るように俺を見上げてくる星は、光のような妖艶さを纏っている。光が悪魔なら、星は小悪魔といったところだろう。
それにしても、あんな少しの酒の量でこんなに可愛く強請るようになるということは……更に飲ませたら、たぶんコイツはヤバい。
人前で飲むのは、極力控えてもらいたいものだ。星は真面目だから、俺みたいな人間に唆されなければ、あと数年は大丈夫だろうけれど。
……酒の力は、恐ろしい。
そんなことを思いつつ、軽く触れるだけのキスを星のおデコに落としてやる。
「白石さん、ちがぅー」
少し拗ねた顔をして、俺を見上げる星は今すぐ抱いてヤりたいくらいに愛らしくて。俺は、朝までそのまま上にいてくれと、優が言っていたことを思い出していた。
それはきっと、優からの合図で。
その方がお互い、好都合ってコトなんだろう。
優が酒を飲むと、従順でなくなるから光は頑なに飲ませなかったのだと分かったけれど。あんな冷酷な顔をする優も、余裕がなく怯える光も俺は初めて見たんだが。
見た感じの憶測、でしかないが。
光があれだけ大人しくなるということは、酒が入った優は光よりもサディストなのだろう……半分以上、光の自業自得な気するけれど。
友人の付き合い方に口出しするつもりはない俺は、ゆったり煙を吐いていく。今は友人のことよりも、煙草吸う俺を見つめて微笑むこの小悪魔をどうにかしなければならないから。
「……煙草、早く吸い終わってくださいね?」
ふふっと笑ってそう言う星は、俺の空いてる片手に細い指を絡ませてくる。
いつもの恥ずかしがり屋な星も可愛いけれど、この小悪魔な星もかなり可愛い、というかエロい。
俺は吸いかけの煙草を携帯灰皿に突っ込み火を消すと、隣で笑う小さな星を抱き寄せて、望み通りに唇を奪ってやった。
ともだちにシェアしよう!

