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第221話
「ん…ぁッ」
可愛い小悪魔から漏れる吐息に、星らしさを感じる。酒に酔い、誘い方が大胆になっても。キスの合間に呼吸するのは、相変わらず下手クソだ。
そこが余計に、悪戯心を刺激させられる。
重なるだけの軽い口付けを何度か交わし、唇を離した俺を見つめるのは潤んだ星の瞳。
「……ブルーベリーの味、する」
「嫌い?」
「ううん、好き……でも、まだ足りない」
「星、お前エロいな。そんなコト言われたら、抑えらんねぇーんだけど」
「いつも抑えてるんですか?あれだけ外でオレにキスしといて?お風呂でもオレのこと触ってたし、抑えれてないじゃないですか」
クスッと笑ってそう言った星は、俺に背を向けると両手をカラダの背後で組んで。
「……最後までは、シてねぇーだろ」
己の否を認めつつも俺がそう呟くと、星は俺に向き直りゆっくりと近寄ってきた。そのまま背伸びをした星は、俺の肩に手を乗せ耳元で甘く囁いてきて。
「なら……今、ここで抱いてくれますか?」
こんな可愛い小悪魔からのお誘いを、人様の宿だからとか、外だからって丁重にお断りできるほど、俺は紳士じゃない。
……っつーか、なんだ。
逃げるだけ逃げ回って、自ら狼に食べて下さいと寄ってくる仔羊ってどうなんだ……こんなん、喰うしかねぇーだろ。
「しらいっ、し…さンッ…」
俺の腕の中で、すっぽりと収まった星の唇を今度は深く味わっていく。
「っ、ぁん…はぁ」
快楽に素直な星のカラダは、キスだけでも蕩ける。どうやらこの仔羊は、ここで抱かれることをご希望らしい。このまま家の壁に押さえつけ、海辺の続きから開始するのも悪くはないけれど。
つい先日、初めてカラダを重ねたばかりの星に、負担を掛けることは極力避け、寝室に戻りゆったりとこのときを楽しもうと思った。どうせ今頃、下にいる二人もそれなりの行為をしているハズだ。
星の唇から名残り惜しくも一度離れた俺は、美味そうな仔羊を抱き上げる。俺の首に両腕を回し、首筋に顔を埋めた星はソコに唇を寄せてきて。
「……いてぇー、星くん」
待ち切れないといった様子で、俺の首を噛んできた星はソコをチロリと舐め上げる。悪戯っ子の小悪魔は、首筋も耳も弱いから。自分が気持ちよくなる箇所を狙って、俺を誘っているようだった。
色気たっぷりに変貌を遂げた星だが、夜風に当たりすぎたのか脚回りは冷えていて。
「カラダ冷えるから、部屋戻るぞ。お前がいい子にできたら……続き、ちゃんとしてやるから」
そう言った俺の瞳を真っ直ぐに見つめてきた星は、ふわりと微笑んだ。
「……期待、してますね」
とんでもない誘い文句を何度も浴びせられ、俺が大人しくできるワケもなく。
「んなコト言って、後悔すんなよ。たっぷり可愛がってやっから、覚悟しとけ」
そう星に洩らした俺は、仔羊を抱えたまま寝室の扉を開けていく。
……今日は小悪魔が泣く姿を、たっぷり味わってやろーじゃねぇーか。
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