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第240話

ブルーのシャツのボタンが、プチプチと外されていく。 そのあいだも止まない刺激に、オレは更に溶かされて。 「あっ、やぁ…んっ」 小さく身体を捩りながら、オレは疼くモノを必死で抑えようとしていた。はだけたシャツは、オレが動くたびに勝手に脱げていってしまう。 「……抵抗、してるつもりか?それとも、煽ってんの?」 白石さんはクスリと笑いながら、オレの肌に口付ける。いつもよりずっと多く、オレの身体につけられていく赤い痕。 きつく吸われてチクリと走る痛みも、たまにがぶりと噛みつかれる感覚も。そのすべてが快感に変わっていくのが、オレはとっても恥ずかしいのに。 オレはきっと、自分が思っている以上に、白石さんを求めているんだって思った……カラダに教えるって、こういうことなんだって。 白石さんから目を逸らせなくて、いつもより感じてしまうのが恥ずかしくて。でも、求めずにはいられないから。すっかり白石さんに可愛いがられることに慣れた身体は、白石さんから与えられる刺激を欲している。 だけど。 「白石…さんっ、やだぁッ…」 イヤだけどほしくて、ほしいけど怖くて。 こんなにも、白石さんに溺れていく自分自身が怖かった。 この両手が自由になるのなら、縋りつきたいくらいに。ずっと、離れられなくなるくらい……オレは、白石さんしかいらないのに。 「んっ、やぁ…あぁっ…」 噛みつかれた小さな乳首は、白石さんからの刺激を強請るように赤く色づく。恥ずかしくて、気持ちよくて、白石さんを求めるオレは、自分でも気付かないうちにゆるゆると腰を揺らしていた。もう何が何だか、よくわからなくて、流れた涙が頬を伝う。 「………お前、痛いのも好きなんだな」 「ちがッ、そんなんじゃ…んっ、はぁ…」 「気持ち良さそうな顔しちゃって、なんも違わねぇーだろ」 フッと笑う白石さんの吐息が熱くて、それだけでオレからは声が漏れる。 「ンンッ…んぁ」 違う、痛いのが好きなわけじゃない。 白石さんだから、白石さんにされるコトだから……オレはきっと、白石さんにされるコトなら、なんだって悦んで受け入れてしまう。 でも、上手く言葉にできなくて。 「やめ、てぇ…やだっ!やぁ…」 オレは抵抗できない身体で、ポロポロと涙を流しながら、やめてと首を左右に振っていた。 「本当に止めてほしいヤツは……ココ、勃たねぇーよ」 「んぁっ、やぁ…もぅ、白石さんっ!」 やめてと口にするオレの身体は、ゾクゾクと刺激を待ち侘びていて。縛られた両手が、ほんの少しの理性が、オレの気持ちの邪魔をする。 冷たい視線、熱い瞳に見つめられて……素直に強請ってしまったら壊れてしまいそうなくらい、オレは白石さんがほしいのに。 「手、やだっ、外してぇ…」 ……ああ、いま、分かった。 オレがイヤなのは、痛いことでも気持ちよくされることでもない。オレは、この状況で白石さんに縋れないコトがイヤだったんだ。

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