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第255話
「せーい、こっちむいて」
俺に噛みついたまま力尽きて、眠ってしまった星を抱き枕にして。昨日の俺は、久しぶりにぐっすりと眠ることができた。
ただ、口をすべらした俺へのお仕置きとして、星は俺に禁煙を命じている。だから俺は今日1日だけ煙草が吸えない。スモーカーの俺にとっては、なんとも口寂しい1日を過ごしている。
……星が隣にいんのが、せめてもの救いだな。
「んっ、ちょッ…」
この口寂しさを、少しでも補ってもらわなければ……気持ち良さそうに俺からのキスを受け入れる、お仕置きといって俺から煙草を奪った張本人に。
「……白石さんっ!朝からどれだけキスすれば気が済むんですかっ?!」
息を吸うように煙草を吸っている俺から、その煙草を取り上げたのだから朝から何度もキスされても仕方ないと思うのだが。
「だってよ、煙草ねぇーと口寂しくなんだもん。煙草ねぇーなら星とキスすんのが、一番落ち着くだろ」
「だろって言われても知らないですよ、オレは煙草吸わないですし……っ、ぁ…もぅ」
ソファーで寛ぐ星を抱き寄せ、カプリと耳を甘噛みすれば、一瞬にして星のカラダから力が抜けていく。
「星くん、俺もう我慢できねぇーから喰っていい?」
「え?あの……はぁ?我慢できないのは煙草でしょ?エッチなコトと……んっ、なんにも関係ッ…ないっ…」
本当に、耳が弱いヤツだ。
俺の吐息が耳にかかるだけで、ぴくんっと反応する星は可愛いらしい。
「煙草奪ってんなら、お前で俺を満たしてくれよ」
「んっ…ッ、まだ、お昼…」
抵抗しようと少しだけ身を捩る星を、俺は力強く抱きしめる。ヤりたくなったら、昼とか夜とか関係なく、交じり合いたくなるものだから。
「やっ…だぁ、めぇ…」
甘い声を出しつつも、口では抵抗する。
その姿が余計に俺を煽るとも知らずに、星はイヤイヤと首を小さく横に振る。
「ダメじゃねぇー、我慢できねぇーっつってんだろ」
とろけ始めて力が抜けた星を、俺はソファーに押し倒す。耳に首筋、滑らかな星の肌をゆっくりと舐め上げてはキスを落としていく。
「ふぁっ、はぁ…んっ」
片目を瞑り眉を寄せて、大きな瞳を潤ませていく星。俺を誘うように洩れてくる、甘い声と熱い吐息。
「やっぱ、お前可愛いわ……こんな感じやすいカラダじゃ、女なんて抱けねぇーな」
「あっ…だからぁ、そんなつもり、ないッ」
女を抱くつもりはないと、ちゃんと俺だけのモノだとわかってくれている可愛い星の唇をじっくりと味わっていく。
「んっ…ンン、ふぁ…」
「星、いい子……わかってんなら、今日もたっぷり乱れてもらうから。俺を強請って、ほしがれよ」
唇を離して見つめ合えば、星は俺の下で熱を持ち始めた下半身をどうにかしようと、モゾモゾと動いていた。
「んっ…やぁ、ムリぃ」
「無理って、星はほしくねぇーのか?俺は、お前がほしくて仕方ねぇーんだけど」
「そんなっ…言い方、ズルイ」
……ちゃんと強請れば、触ってやんのに。
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