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第372話

さっと濡れたカラダを拭き、軽々運ばれたベッドの上。なくてもいい場所にある鏡は、生まれたままの姿を映し出す。 けれど。 目の前にある鏡のせいで、オレはバスルームで失いかけていた羞恥心を取り戻していた。 「……あの、色々と恥ずかしいです」 オレンジ色のライトだけが灯る部屋に、いつもとサイズの違うベッド。鏡に映る自分の姿は、なるべく目にしたくないのに。 少しのあいだでも、身体が冷えないようにと、オレに羽織らせてくれたバスローブ。それに手を掛けつつ、雪夜さんはオレの頬を撫でてきて。 「星くん、お前可愛いすぎ。自分でこっちまで連れてきてって強請ったクセに、なに泣きそうな顔してんだよ」 「だって、こんなの…っ、ぁ」 視線をどこへ向けていいのかも分からず、雪夜さんを見上げたオレに、与えられたのは甘すぎる口付けだった。 「んっ…ぁ、はぁっ…」 まだ乾くことのないオレの髪に触れて、優しく笑う雪夜さんの表情にオレは溶かされていく。 「恥ずかしいのな、でも大丈夫だ」 ベッドの上で胡座をかいた雪夜さんの上に、ひょいっと乗せられたオレが向き合ったのは、雪夜さんではなくて、鏡の中のオレ。 「……あ、え、雪夜さん?」 「んー、ナニ?」 「大丈夫じゃない、です…もぅ、ほんとに恥ずかしいからっ」 「恥ずかしがる星も見てぇーの、こうすると後ろからでもお前の可愛い姿見れんだろ?」 雪夜さんが見たくても、オレは見たくない。 でも、身体の奥で燻る熱は、そんなこと関係なく雪夜さんをほしがって。恥ずかしさの中、躊躇うこともせず、濡れ解れたソコは雪夜さんの熱いモノを受け入れていく。 「ん、あぁっ…はぁ、やっ…ぁ」 ……だめだ、気持ちいい。  雪夜さんを感じたオレは、もうなにも考えられない。濡れる瞳で前を向けば、ついさっきテレビで見た女の人以上に、乱れた姿のオレと目が合ってしまう。  「ッ…ん、ンッ!」 けれど、受け入れきれない光景に思わず目を瞑ったオレを、雪夜さんは鏡越しでも見逃してはくれなかった。 「星、目開けて前見てろ……俺とお前が繋がってんの、ちゃんと見えるから」 雪夜さんの囁かれた言葉に、オレの意志とは関係なく勝手に目を開けて前を見つめる素直すぎるオレの身体。雪夜さんのモノを咥え込んで受け入れる場所からは、ぐちゅぐちゅと音が響いて、如何わしくいやらしい秘部が露わになる。 「ゆきっ…や、さぁんっ…」 「すげぇーエロくてキレイだろ、星のココ……感じてる姿も、壊したくなるくらい可愛い」 綺麗とか可愛いとか、とてもじゃないけどそんなふうには思えない。でも、大好きな雪夜さんと繋がっている事実を目の当たりにして、幸福感や羞恥心、快楽とが混じり合い、蕩けるナカは収縮を繰り返す。 「ひゃぁっ…ぁん、んっ…やだぁ、雪夜さんっ!」 「イヤ?そのわりには奥まで誘ってくんだけど」 ぐっと奥を突き上げられ、ぐちゃぐちゃになっていく身体に、オレの頭はついていくことができなかった。

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