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第399話

【星side】 高校生活始めての学園祭は、準備とか色々と大変なことが多かったけれど、とても楽しくて。一緒に帰ってきた弘樹と二人、オレは裏の公園で今日の出来事を思い返し、話に花を咲かせていた。 「弘樹のクラスのショートムービー、すっごく面白かった。服飾学科のクラスはみんな、個性的なファションだったね」 「ハロウィン近いからって、先生たちも仮装してたしな。横島は仮装というより、ただの正装だったけど。セイは、アメちゃんいくつもらった?」 仮装して、校内を回る先生たちを見つけて。 『Trick or treat』と声を掛ければ、先生たちが持っている飴を貰えるイベントをやっていたんだけれど。先に撮ってあった弘樹のクラスのショートムービーとは違い、オレは模擬店の裏方役で忙しく、貰えた飴は少なかった。 「んーとね、八個くらいしか貰えてない。弘樹と模擬店回ったとき、一緒に貰った分だけだった」 「服飾はショーやってたし、調理のヤツらは何処も忙しそうだったもんな」 「次から次へとお客さん来てたから、休憩の交代もなかなか上手くできなくて大変だったよ。でも、クラスのみんなで楽しめたから良かったと思う」 団結力とか、クラスの絆とか。 そう言った言葉とは、今まで無縁だったけれど。クラスメイトみんなで助け合いながら、協力して無事に終わった学園祭は心に残ると思うんだ。 「星が楽しく過ごせたなら、良かった。そういや、西野は……アイツとは、会えたのか?」 慌しく過ぎていった、学園祭の時間。 西野君と回るはずだった模擬店も、オレはたまたま会った弘樹に連れられ、自由時間は西野君とはぐれたままになっていた。 一応、西野君には弘樹といることと、合流したいから連絡してねって、連絡は入れておいたけれど。結局、学園祭が終わるまで西野君から連絡がくることはなかった。 「うーん、最後にクラスで集まって写真撮った時にチラッと顔見ただけ。オレ、他の子と片付けしたりしてたから。兄ちゃんも文化祭来るって言ってたけど、オレが会えたのは帰り際だけだった」 「セイの兄ちゃんなら、その辺ウロウロしてても目立つはずなのにな。王子が来た時間、遅かったんじゃね?」 「そうかも。オレ、兄ちゃんにお願いだから目立たないでって言っちゃったし……って、あれ?」 暗くなった景色の中から近づいてくる、一台の車。ナンバーまでは確認できないけれど、その車は雪夜さんのと同じ車種のような気がして。オレと同じようにその車に視線を移した弘樹は、誰だか分からない相手に向かい手を振っている。 「アレ、白石サンの車じゃん。つーか、窓から顔出して手振ってんの、セイの兄ちゃんだぜ?相変わらず王子だな、あの兄ちゃん」 「……ウソ、あっ、ほんとだ!」 どうして兄ちゃんが雪夜さんの車に乗っているのか分からないけれど。突然やってきた嬉しい相手にオレの胸は高鳴り、家の前で止まった車にオレと弘樹は駆け寄っていった。

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