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第407話

「なんだよ、ありえねぇコトって?」 「後ろ見てみろ、キレイな姉ちゃんに会えるぞ」 「……え、マジっ?!どこッ!!」 康介が振り返った視線の先には、俺がいることに気づいてコチラに向かい手を振る光がいる。今日は西野スタイルじゃなく、いつも通り王子様スタイルの金髪悪魔。振り撒く妖艶さは、まるで蝶の鱗粉のように光を反射させ、キラキラと輝きを放つ。 そんな光に向けられる視線の多くは、女からの熱い眼差しで。俺たちの方へと近づいてくる光を、ガン見する康介の目はハートになっていた。 「こんにちは、ユキちゃん。ユキちゃんがカフェテリアにいるなんて、珍しいね。いつも講義受け終わったら、すぐ帰るのに」 「まぁ、そうだけど。腹減ったから」 俺がいるテーブルの隣、空いている席に腰掛けた光は康介を見て微笑み会釈する。俺や優にあまり見せない完璧な王子様スマイルに、俺が感心していると……笑いかけられた康介は、興奮気味に話し出す。 「あのっ、俺、浅井康介って言います!!昨日ショップの前で会ったヤツですッ!すっごい偶然ですね、まさか同じ大学なんて……俺、すっげぇ嬉しいッ!!」 「あぁ、ユキちゃんのバイト先の子。同じ大学だったんだ、昨日はどうも……俺は青月光っていうの。よろしくね、コウちゃん?」 内心、金髪悪魔がどう思っているのかは知らないが、康介に向ける笑顔は崩れないままの光。 「光ちゃんッ!よろしくぅーっ!!」 今の光を見れば、康介も光が男だと判断できると思い、わざわざありえないコトと言ってやったのに。光をちゃん付けし、気持ち悪い声を出す康介の脳内では、光はまだ女だと勘違いされたままなのだろうと思った。 「康介、お前キモい……昨日も言ったけど、光は女じゃなくて野郎だから。キレイな顔した悪魔だから、気をつけろ」 「白石、光ちゃんに失礼だろッ!!」 「あー、なるほど。そういうこと……コウちゃん、ごめんね。俺、ユキちゃんが言ってる通り男の子なんだ」 話の流れから、康介が性別を勘違いしているとすぐに理解した光は、少し困った顔をして康介に事実を告げていた。 光本人から男だと告げられた康介は固まり、フリーズ状態に入っていく。やはりコイツは一度、眼科に行った方が良さそうだ。今頃康介の脳内は、光一色に染められているだろうから。 「……コウちゃん、大丈夫?」 バカな頭で考えなくても、今の光はどう見ても男だ。俺は動かなくなった康介に呆れ、光に話しかけた。 「わりぃーけど、コイツお前が男だって理解すんのにまだ時間掛かるからほっといてやって。それよりお前昨日あのあと、優ん家行ったんじゃねぇーのか?」 「うん。昨日は駅まで迎えにきてもらって、そのまま優の家に泊まって……それでさっき、ここの大学前でバイバイしたの。今日は午後からゼミあるし、間に合うように高速ぶっ飛ばして送ってもらった」

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