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第415話
『それで、横島と西野が禁断の関係なんじゃないかって話?』
「違うよ、それはオレが勝手にそう思っただけ。西野君の上目遣いがすごく上手で、色気があるなって感じただけだから」
学校が終わり、家に帰ってやることをやって。
お風呂上がりのオレが通話している相手は、弘樹だ。今日の西野君と横島先生の一瞬のやり取りが、どうしても気になって。オレはこんな話ができる相手は弘樹しかいないと思い、弘樹に相談したのに。
『それならセイの上目遣いの方が可愛いし、色気あると思うけど?』
なんで、オレの話になっているんだろう。
横島先生の笑い方が雪夜さんに少しだけ似てたことと、実習中なのに見つ合っているように見えた二人の話をしてたはずなんだけれど。
「ひろきー、ちゃんとオレの話聞いてぇー」
茶化されているような気持ちになって、オレは拗ねっ子モードで弘樹にそう言った。
『セイ、拗ねるなよ。でもコレはマジだから、変な意味じゃなくて単純に、セイはすげぇ可愛いし、色気だってちゃんとあると思う』
「弘樹に言われても、嬉しくない」
『俺に言われてもってコトは、白石サンに言われたら嬉しいんだ?』
「それはっ……」
『ほら、可愛い。白石サンのこと考えて、今赤くなってんだろ?あんま言うと俺、あの人に殺されそうだからこんくらいにしとくけど』
そう言って電話越しで笑っている弘樹は、雪夜さんみたいに少し意地悪で。弘樹の予想通り顔を赤く染めてしまったオレは、弘樹に何も言えなかった。
『セイにはセイの魅力がある、ソレを知ってんのはあの人だけなんだろ?』
「え?いや……あの、うん」
『何照れてんの、そこは堂々と答えていいところ』
スマホ越しにそう言って笑われ、オレはどうしたらいいのか困ってしまう。とりあえず、話題を元に戻すために、オレは一呼吸おいてから口を開いていく。
「……ねぇ、弘樹。西野君は横島先生が好きなのかな?憧れてるって言ってたけど、今日の感じ見る限りでは、それだけじゃないように見えたんだよね」
『アイツが横島のこと、好きかどうかは分かんない。でも男と関係持ってるなら、男を好きになってもおかしくはないのかも』
「んー、横島先生かぁ……」
先生に恋しちゃうって、どんな感じなんだろう。西野君が本当に横島先生のことが好きなのかは分からないし、本人に聞く勇気もオレにはないけれど。
もしも雪夜さんが先生で学校にいたとしたら、オレは雪夜さんに恋をするんだろうか。それで、もし、今みたいな関係になっていたなら……って、ダメだ。
そんなの。
ドキドキしすぎてオレの寿命が縮みそうだし、そもそも雪夜さんが先生なんてあり得ないし。もしも、なんて変なことを考えるのはやめよう。
『でもさ、横島が西野の学校外での行動を知ったら……アイツ、退学とかになるのかな』
高校は、義務教育じゃないから。
弘樹が呟いた退学の二文字は、オレたちにとって重いものだった。
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