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第448話
「ジッポって、高いやつは高いんだなぁ」
「ユキちゃんが、ゴールドじゃないだけマシだって言ってたよ。ひぃ君、検索してみたら?」
雪夜さんとの通話が終わり、スマホと睨めっこしていた弘樹と兄ちゃんが話始めて。
「雪夜さんが使ってるジッポのブランドで、ゴールド?」
オレが兄ちゃんに問い掛けると、兄ちゃんは頷いてベッドに腰掛け脚を組む。
「シルバーアクセサリーが有名だけど、ゴールドもあるみたいだよ。ただゴールドのジッポは稀少価値ついてるから、お値段とんでもないってさ」
ニヤニヤと笑う兄ちゃんは、弘樹を見つめている。スマホをいじる弘樹の指がスクロールしていき、その手が止まった瞬間。
「……ハァっ?!なんだコレ!!」
一際大きな声を出した弘樹は、スマホの画面をオレと兄ちゃんに見せつけた。
「22金かぁ、18金より上でも24金ではないんだ……それでこのお値段はすごいね、新車買えるよ」
そう呟いた兄ちゃんに、弘樹は目を丸くして問い掛ける。
「……18キンって、禁じゃねぇの?」
「ひぃ君、おバカだね……あ、ちょうどいいや。せい、左足出してごらん?」
オレは兄ちゃんから言われた通りに、左足を差し出した。モコモコのルームソックスを脱がされて、一瞬だけ冷やりとした感覚がする。
「これがその18金、証拠の刻印……ね?」
オレのアンクレットのアジャスター部分に触れ、留め具の役割をしている小さなチャームを裏返した兄ちゃん。そこに印された文字を弘樹に見せた兄ちゃんは、にっこり笑ってそう言うけれど。
「王子、それって結局なにがちげぇの?質?値段?」
「本当に無知でバカだね、ひぃ君……まぁ、教えてあげるから、今後の参考にでもするといいよ」
「兄ちゃん、知ってるの?」
オレはプレゼントされたことに喜んで、詳細は何も知らないままなのに。なぜかアンクレットのことに詳しい兄ちゃんは、そっとオレの頭を撫でていく。
「前にユキちゃんと鍋パしたときに、詳しく聞いたんだ。これ、ゴールドとプラチナを専門で扱うアクセサリーショップで購入されたコなんだって」
「王子は参考にって言ったけどさ、そんなとこ俺らが行けるような店じゃない気がする」
「まぁ、今はね。でも、あと数年したら俺たちと似たような歳になるわけだし、知識があって損はないでしょ?」
ごもっともな兄ちゃんの意見に、オレと弘樹は耳を傾ける。
「ゴールドで用いられる18Kは、金の純度を示すんだよ。だからこのコの75パーセントは金で、金メッキの偽物じゃないってコト」
弘樹は兄ちゃんの話を聞きながら、まじまじとオレのアンクレットを見つめている。
「でも、俺が感心してるのは、ユキがプラチナよりゴールドを選んだところかな。このコはメンズ用じゃないから、敢えての選択だってユキが言ってた」
「王子、どういうこと?」
「プラチナだと星の肌色に溶け込みすぎて、女性寄りの印象になるから。アンクレット本来の存在感を強めるために、ユキはわざとゴールドを選んだって話」
「確かに、セイにはすげぇ似合ってる。動くたびに二重チェーンが揺れるから、なんかエロいし」
「ひぃ君、変態」
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