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第449話

プレゼントに込められた想いを知り、オレの頬は染まる。 「ブランド品ってわけじゃないけど、大切にしたくなるプレゼントだよね。でも、ユキちゃんに負けたみたいで悔しいから、仕返ししようと思ってる」 「え、兄ちゃんナニする気?」 「クリスマス当日のコーデは俺がするから、せいは楽しみに待ってるだけでいいよ」 デートの約束が無事にできたオレに、兄ちゃんはそう言って笑ってくれるけれど。 「兄ちゃんと弘樹は、クリスマスどうするの?」 自分のことを考えるのに精一杯で、二人の予定を尋ねていないことに気づいたオレの質問に、最初に答えてくれたのは兄ちゃんだ。 「俺はねー、優と蟹食べに行くの。蟹三昧のフルコースプランを予約してもらったから、一泊二日で温泉旅館にお泊まりしてくるよ」 「え……王子がクリスマスに、ダチと蟹っスか?」 弘樹の言いたいことは、よく分かる。 このキラキラ王子様が、聖なる夜に温泉旅館で友達と蟹を頬張っているところなんて、想像できないから。 「うん、だって蟹美味しいじゃん。彼女とか特定の相手、今はいないし。今年は優と二人で旅館に泊まって、のんびりお酒を嗜んで過ごそうかなぁって思っててね。ひぃ君は、誰とどう過ごすの?」 弘樹の問いをサラリとかわしつつ、クリスマスは優さんと旅館にお泊まりだって教えてくれた兄ちゃんは、話題を弘樹に投げかけた。 「俺はイヴがサッカー部の先輩たちとカラオケで、クリスマスは……その、西野から誘われてる」 「え、西野君から?」 「あらぁー、ひぃ君モテモテじゃん」 予想もしていなかった言葉が返ってきて、驚くオレに弘樹は苦笑いしていた。 「やっぱり、セイは西野から何も聞いてねぇんだな。ただ一緒に遊び行こうって、誘われただけなんだけどさ……まだ俺、アイツに返事してないんだ」 「でも、なんでわざわざクリスマスに弘樹なんかと?」 「ひぃ君、サラッとせいに酷いこと言われてる」 「俺なんかって、なんだよ。まぁ、確かにあの人と比べたら俺なんかだけど……これでも一応、女子からだって誘われてんだからなっ!?」 「ああ、ごめん。そう意味じゃない、昔から弘樹はモテるもんね……でも、どうして西野君は弘樹を誘ったんだろう?」 オレに相談なくされていた、西野君から弘樹へのお誘い。友達だからって教えることはしなくてもいいとは思うけれど、できれば言ってほしかったなって……西野君に対して抱いた思いは、虚しさに変わってしまう。 「わっかんねぇけど、興味ない女子と遊ぶよりかは顔だけは可愛い西野と過ごした方がマシな気がしなくもねぇ……俺、アイツに訊いてみたいこと山ほどあるし」 「まぁ、一人寂しく過ごすよりかは、誰かといたいなって思っちゃう日ではあるよね。クリスマスって、不思議な日」 艶やかな金髪に指を絡ませ、そう言う兄ちゃんの意見はごもっともで。ここに集まっているオレたちは、それぞれ違う相手と過ごすクリスマスの日のことを思い浮かべていた。

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