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第464話

優と二人で初詣後の話をしつつ、そのまま四人で日の出を見ることに予定を変更して。俺が愛する仔猫と金髪悪魔が姿を見せたのは、俺が寒さに震えながら二本目の煙草に火を点つけた時だった。 「二人とも、お待たせ」 「あの、こんばんは」 今日も可愛らしい星くんは、優に小さくお辞儀をし俺の側にやってくる。そんな星の手を軽く引き、片手で抱き寄せた仔猫の髪からは甘く誘うようなシャンプーの香りがして。 「……あったけぇ」 星の肩に顔を埋めた俺は、温かな星の温もりに癒されていく。 「お待たせしちゃってすみません、雪夜さん身体冷えてませんか?」 寒さに弱い俺を気遣ってか、俺の頬に両手を伸ばし、あやまりながらも微笑んでくれる星くんは可愛すぎる。小さな幸せを感じている俺たちの横で、優は光の腰に手を回し不思議そうに星を見ていた。 「こんばんは、星君。お取り込み中のところ申し訳ないが、星君が着ているそのコートは、数年前に光が着ていたものではないのか?」 優からの言葉に少し頬を染め頷いた星は、光へと視線を移しはにかむように笑っていて。 「さっすが、すぐるぅ!そうだよ、俺が高校のころによく着てたやつ。せいが着たいって言ってくれたら、今はせいのコートだけどね」 星によく似合っているキャメル色のダッフルコートは、元は光の物だったらしいが。高校時代の服装まで覚えているわけがなく、俺は優にこう言った。 「優、お前よくそんなコト覚えてんな。着てた服まで記憶にあるとか、ストーカーみてぇーだ」 けれど。 星の温もりを感じたまま、煙草の煙を吐いた俺を見上げ、星は嬉しそうに呟いていく。 「雪夜さんだって、オレが忘れてたこと覚えててくれたじゃないですか?あの時オレ、とっても嬉しかったんですよ?」 「ユキちゃんも、充分ストーカーじゃん」 「うっせぇー、悪魔。んなコトより、星はちゃんと昼寝してきた?参拝したらそのまま初日の出見るらしいけど、大丈夫か?」 クリスマスデートの話を悪魔たちの前で掘り返されるのは小っ恥ずかしく、俺は話題を切り替えた。 「今日はお昼寝たくさんしたので、大丈夫です。雪夜さんと一緒に年を越せて、新しい1年を迎えられるなんて素敵ですね」 「そうだな、時間とれてよかった」 本当は星と過ごすために、睡眠時間を削って無理矢理作った時間。日の出まで見るなら、俺はそのままバイトに向かわなきゃならなくなるが、そんなことより星が大事だ。 「ねー、いつまでイチャついてんの?ユキちゃん早く車開けてよ、俺たち寒いじゃん」 「……ったく、うっせぇーな。コレ吸い終わったら行くから、ちょっと待っとけ」 光がいるだけで騒がしくなるし、優はそんな光の言いなりだし。急遽現れた友人二人は、相変わらず空気を読んではくれないけれど。 それでも、俺の隣には楽しそうに笑っている星がいるから。この四人で年を越すのも悪くないかもしれないと、小さく笑った俺は、そっと煙草の火を消した。

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