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第494話
「星、コレ咥えてといて」
オレの服じゃない、雪夜さんのスウェット。
コクリと頷き、言われた通りその裾をオレが咥えてみるけれど。
「っ、はぁ…んッ!」
自ら食べてと言わんばかりに、さらされた胸の突起へ与えられた温かな刺激に声が漏れる。でも、咥えている服にその声も息も吸収されて、溢れた涙が頬をつたっていく感じがした。
「可愛い、星くん」
「ほんらこと…っ、らぃ」
服を咥えたままじゃ、そんなことないって否定の言葉が上手く言えない。それなら止めちゃえばいいのにって頭では分かっているのに、雪夜さんからの刺激を強請るオレの身体は、自分で胸を突き出す体制のままで。
「あっ、ンンッ…んぅ…」
ソコはもう、ツンと芯を持ち始めてしまったんだ。片方は指先で優しく嬲られ、もう片方にはチュッと甘いキスが落とされる。その隙を狙って、やんわりとやってくる耳への愛撫にも震える身体。オレはもう、どうしたらいいのか分からず、与えられる快感に身を任せた。
「ん、はぁ…ア、ッ…んぁっ」
「えっろ……自分で食べてもらえるように服咥えて、背中反らしてこんなに感じちゃって。星のココ、すげぇー赤くなってる」
「ぁ…もぅ、ふぁ…ンンッ」
赤く色づいたソコをツンツンと撫で回し、いやらしく笑ってオレを見る雪夜さん。相変わらず楽しそうで余裕そうな表情にドキドキしてしまうけれど。
オレはとても小さな抵抗の意味を込め、気持ちよくて涙で潤みきった瞳でそんな雪夜さんを睨みつけた。
「その顔、お前ホント煽んの上手いな」
オレが望んで、服を咥えているわけじゃないのに。結果的にこんなに感じて乱れていたら、同じことなのかもしれないけれど。
「んぁっ、んぅ…ッ!」
もっと欲しいと強請ったり、睨んで抵抗してみたり。気持ちいいけれど恥ずかしくて、結局は雪夜さんにされるがままのオレは胸の辺りで遊んでいる雪夜さんの頭を抱え込む。
ふわふわの髪に、甘く香る匂い。
麻薬のようなその香りに、オレは虜になっていく。長い前髪が乱れて、そこから覗く淡い色の瞳が映し出すのは、頬を染め上げ喘ぐオレの姿だった。
見つめ合い、一瞬止まった愛撫。
でも、オレは雪夜さんの視線だけで感じてしまって。
「やっ…ん、だめっ…」
「だめって、俺なんもしてねぇーよ?」
優しく笑ってオレを見る雪夜さんは、えっちだ。見つめちゃだめ、囁いちゃだめ、その手で触れちゃだめ……欲しいと思う気持ちが強ければ強いほど、壊れそうになるから。
壊れてしまえば楽なのに、必死で理性を保とうとする頭がその気持ち良さを否定する。羞恥心にまみれたこの状況を楽しめるほど、オレはまだ大人じゃなくて。
「もぅ、ばかぁ…」
小さくそう呟き、咥えていた服で顔を隠したオレの頭を、雪夜さんはよしよしと撫でてくれる。意地悪で優しくて、雪夜さんが与えてくれる一つ一つに幸せを感じた。
「星くん、好き」
「…んっ、オレも好き」
好きだから、欲しくなる。
身体で繋がって、雪夜さんを感じたくなる。
雪夜さんだから気持ちよくて、雪夜さんだから委ねられる行為なんだと、こんなとき強く思うんだ。
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