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第554話
星からのプレゼント。
それは、来月の1日にあるプロリーグの観戦チケットだった。県外の試合ではあるものの、4年ぶりのダービー戦で絶対に盛り上がること間違いないその組み合わせを選んだ星くんに、俺は感謝しかなくて。
「すっげぇー嬉しい……星、ありがとう」
俺はもう、子供から大人になったハズなのに。
たぶん今の俺は、幼い顔して笑っているんだと思う。初めてスパイクとボールを買ってもらった時みたいに、嬉しさ隠しきれてねぇーんだろうな。
だって、俺より幼い星くんが大人な顔して幸せそうに笑ってんだから。
「喜んでくれて、良かったです……誕生日当日のチケットだと雪夜さんの予定が分からなかったから、結構面白そうな組み合わせの試合を選んだつもり……です」
「今シーズン、フリーキックの天才が移籍してきたからな。高速使えば1時間ちょっとで着くし、デートがてら観戦すっか?」
「うんっ!あ、でも……前日はえっちなことするの控えてくださいね?こんなに腰が痛いんじゃ、オレ観戦どころじゃなくなっちゃうので」
「あー、ワカリマシタ」
……っつっても、いつもはそこまで激しくしねぇーだろ。昨日は星くんが、解さなくていいから挿れてって自分から強請ったワケだし。すっげぇー可愛いトロ顔しちゃって、めちゃくちゃ感じてたヤツはどこの誰かなぁ、星くん?
なんて。
このタイミングでんなコト言ったら、確実に煙草没収される。まぁ、そうなるまで星くん蕩けさせた俺が悪いのか……もう、なんでもいいや。とりあえず、この試合の日はバイトを入れずにおくとして。
15時キックオフなら、その前からやってるイベントにも間に合うように動きたい。やっべぇーな、すげぇー楽しみでもう浮かれちまってる。
「雪夜さんってこういうとき、とっても幼い表情しますよね。子供みたいな可愛い笑顔……遠足の前の日とか、楽しみで眠れないタイプだったりしますか?」
「いや、そうでもねぇーよ」
俺の腕の中にいる星くんは、クスっと笑うと小さな手を伸ばして俺の頭を遠慮がちに撫でてくる。
今の俺はそんなにガキに見えんのか……確かにまだまだガキだけど、なんかすげぇー恥ずい。
「オレね、今みたいな雪夜さんの笑顔が見たかったんです。嬉しそうで、すっごく楽しそうで……だから、雪夜さんの無邪気な笑顔が見られる場所をプレゼントしたくて」
あー、もう。
嬉しさ通り越して、今すぐ可愛がり倒したい気分。なんなんだよ、コイツのこの破壊力……天使っつーか、なんつーか。
普段より少しだけ重たそうな瞼に、寝ぐせのついた髪。ニットのセーターから覗く白い肌を惜しげも無く晒して、俺に微笑む星くんが愛し過ぎて困っちまう。
「星、大好き」
「あ、ちょっ…んッ」
身体が辛くないように星をゆっくりとベッドに押し倒し、可愛い星くんの唇を奪った俺は、抑えきれない衝動と一人で戦っていた。
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