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第568話
止まない雨の音がする。
車内に篭る互いの熱で、車の窓には真っ白なカーテンが出来上がっていた。
相変わらず人の気配は全くなく、俺は目の前の星くんを可愛がることに集中している。
「やめっ…ぁ、もぅ…はぁ」
潤んだ瞳で俺を見上げて、睨みつけてくる星くん。だが、正確に言うなら俺の捉え方は少し違う……睨まれてる感覚は一切なく、物欲しげに眉を寄せているようにしか見えないからだ。
「可愛い」
星が触れて欲しい場所には触れずに、俺が星くんを焦らしまくって遊んでいる時、星は必ずこの表情をする。それは一つの合図のようなもので、星が俺の心理を見抜くためのものでもあるんだと思う。
俺に余裕があって優しくできる時は、このまま何も言わずに星にキスをして次に進むけれど。そうじゃない今日みたいな時、俺はそうしてやろうとは思えなくて。
「俺が欲しい時はどーすんだっけ、星くん?」
星の耳を甘噛みしてやり、俺がそう呟けば。
やっぱりかと、今度は悔しそうな顔をして俺を見つめる仔猫がいる。
もっとと強請ったり、睨んで抵抗したり。
いくら抱いても飽きることなんてなく、むしろ、そんな星の姿は俺を虜にさせていくばかりだ。
「いじわるぅ…ん、やぁっ」
「ほら、言えよ。言わねぇーとどうなるか知ってんだろ。それとも……星は、このまま放置されたい?」
実際は、放置されたら辛いのは俺の方。
この状態でお預けくらうのなんか、地獄にいんのと一緒だ。お互いにくだらない駆け引きをして、どっちが折れるかはその日の気分次第で決まる。
今まで何度もカラダを重ね、想いを伝え合ってきたからこそ、ちょっとした表情の違いやこういったやり取りも、楽しめるようになった星との関係性。
「雪夜が…欲しぃ、から…いっぱい、して…」
「ん、いい子」
「ぁっ、ん、んぅ…ふぁ」
潤みきった瞳から、流れる涙は極上で。
星くんは本当に俺を求めている時にだけ、俺を呼び捨てにして強請ってくる。
もちろん、俺がその強請りに弱いことを承知の上で……自らの欲求を満たせる相手はオレしかいないことを分かっていて、それでも毎回恥じらうことを忘れない星。
吐息が漏れる唇にキスをしながら、俺は星が履いているクロプットパンツと下着を剥ぎ取っていく。
家なら全部、脱がしてやれるんだが。
さすがに、車内で全裸にさせるのは気が引ける。大事な星くんが風邪を引かないかと心配だし、いくら人が通らない道だと分かっていても、万が一ってこともある。
そう思い、中途半端に片方だけ服を脱がして。星が顔を隠すために使っていた俺のジャケットを奪い取り、俺はその袖を星くんの腰に巻いてやった。
これで車内を汚すこともなく、星との淫な行為を楽しめる。
すでに先走りで濡れている星のモノをやんわりと口に含んでやり、星くんの反応を俺が楽しんでいると、星は小さな悲鳴を上げて呆気なく果ててしまった。
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