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第624話
【星side】
色々あった1日が過ぎ、やってきた次の日。
昨日は弘樹が西野君に告白しに行った後、オレは雪夜さんとランさんのお店に行ってから雪夜さんのお家にお泊まりして……オレは雪夜さんに、たっぷり躾けられました。
今はルンルン気分の弘樹と西野君を前に、オレは腰を庇いながら学校の中庭でお昼ご飯を食べています。
「セイちゃん、その様子だとあの人に相当抱かれたっぽいな。珍しく首筋に、がっつりキスマついてるし」
今まで、何度言われても危機感を持たなかったオレが悪いんだけれど。弘樹に言われた通り、オレの首筋には色濃く残った痕が一つある。
「あー、うん……おかげさまで。どっかの誰かさんのせいで、オレの腰は砕けそうだよ」
そう、どっかの誰かさん。
優しくて甘い雰囲気を醸し出しつつ、オレの手を拘束して意地悪に笑っていた雪夜さんのことだ。
抱き着きたいって、泣いて強請ったのに。
昨日の雪夜さんは、オレの話をまったく聞いてくれなくて……散々啼かされ続けて、オレがやっと雪夜さんに抱き着けた頃、オレの意識は夢の中だったような気がする。
たまに出現する意地悪度MAXの雪夜さんは、いつもより口調が荒くて目付きも違う。でも、オレはそんな雪夜さんに心を奪われてしまって。
朝起きたら用意されていた朝食も、オレが今食べているサンドウィッチも。どちらもやっぱり美味しいし、学校まで送り届けてくれた雪夜さんのことは大好きなんだけれど。
弘樹に言われた言葉に恥じらいを感じる余裕もなく、オレはふぁーっと欠伸をした。ご飯を食べながら寝てしまう赤ちゃんみたいに、食欲と睡眠欲が同時に襲い掛かる身体がとてつもなく怠い。
けれど。
ヤり過ぎちったって、反省していた雪夜さんをオレは簡単に許してしまうから。隠せないキスマークが雪夜さんの独占欲を満たすのなら、コレはこれで嬉しいと思ってしまうんだ。
そんなオレの身体に刻まれた痕を見つめ、西野君は心配そうにオレに声を掛けてくれる。
「青月くん、美味しくいただかれた感が半端ないんだけど……身体、辛いんじゃない?保健室で寝てなくて、本当に大丈夫?」
「ありがとう、西野君。昨日休んじゃったし、今日はありがたいことに体育もないから……午後からも頑張るよ」
オレの返答に、西野君は無理しないでねって、柔らかい笑顔を見せてくれた。そんな西野君も、いつもより少しだけ気怠く見えるのはオレの気のせいだろうか。
「でもさ、傍から見れば盛ったのはセイの方じゃね?セイも男なんだなぁって思われてそう。セイの恋人が誰か、探りいれてくるクラスのヤツとかいねぇの?」
西野君の隣で、一人楽しそうに笑う弘樹はそう言って西野君が作ってくれたお弁当の玉子焼きを頬張っていて。
「僕ね、今日の朝から青月くんのキスマークについて、クラスの女子に色々聞かれたよ?」
笑う弘樹の隣で平然と応えた西野君の言葉に、話題を振った弘樹が固まり、もちろんオレも固まってしまった。
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