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第636話
可愛いがる箇所は、いくつもある。
赤く熟れていく乳首とか、ゆるゆると勃ち上がっている星のモノとか。今の星くんが触れてほしい場所は、そんなとこだろうと思うが……俺はまだ、星の要望に応えてやることができない。
耳の次は肩、肩の次は腕、腕の次は指。
手の甲にキスを落として、そのまま唇を滑らせていくだけで、星は恥ずかしそうに身をよじる。
「指…舐めちゃ、ぁ…んっ」
「色んなトコ、可愛いがっていいんだろ?」
真っ赤に染まっていく星の頬を撫で、そう言って微笑んでやると星はこくんと頷き、観念したように瞳を閉じた。
「ン、や…はぁっ」
「指だけでも感じんだな、すっげぇー可愛い」
「だっ…て、気持ちぃ…もんっ」
星の恥じらいが消えていくのは、時間の問題で。全身くまなく愛してやりたい俺と、焦らされる苦しさに耐える星との我慢比べが始まりそうだと思った。
それでも、蕩ける星のカラダに優しく触れ、柔らかなキスをして。ゆっくり快楽に溺れていく星の姿を見て、俺は頬を緩めていく。
「っ、ん…だめぇ、もぅ…やだぁ」
「嘘吐き、ヤじゃねぇークセに」
星が嫌なのは、焦らされることだ。
頭がふわっとしていく感覚と、保てない理性を失うのが怖いから。だから星くんは、いつもこんなふうにイヤとダメを繰り返す。
本気で星が嫌がりそうな時や、無理そうな時は、しっかり反応を見てれば察することができるから。星が怖気付く前、快楽に目を背けそうになるギリギリのラインまで導いてやると、仔猫は大粒の涙を流して泣きじゃくってくれるのだ。
けれど。
物足りない刺激は、星にとって毒のようなものなんだろう。溢れる涙がソレを感じさせ、俺の肩に爪を立てる星を愛おしく思う。
触れてほしい場所に触れてもらえない苛立ちが募り、星は時折唇を噛んで声を殺そうとするけれど。俺はそうはさせたくなくて、喘いで開いた星の口に俺の指を突っ込んだ。
「噛むならコレ噛んどけ、星」
「んぁ、ふ…ぅ、んぅ」
ぱくっと咥えられた指で星の咥内を犯してやれば、星くんが好きな音が部屋に響いていく。その音は星を壊すのに充分な働きをし、完全に溶けた星くんは濡れた俺の指を見つめて呟いた。
「雪夜、さん…もっとぉ、気持ちぃの…して」
……こら、こら、星くん。
あんま煽んねぇーでくんねぇーかな……俺もそんな余裕あるワケじゃねぇーってのに、一度箍が外れちまったら、俺コイツに何処までするか分かんねぇーよ。
俺が満足するまで抱き潰すのは、後々星が苦しいだろうし。普段はやり過ぎたとしても、なるべくそうなる一歩手前で加減してるつもりでいんだけど。
「ね、雪夜ぁ…お願いっ」
我慢ができなくなった星から強請るというより懇願され、理性が吹っ飛びそうになる。コイツにはマジで敵わない、俺がそう思った瞬間……我慢比べの勝者が決まった。
「その頼み聞いてやっけど、後悔すんなよ?」
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