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第637話
「ひゃぁっ…ん、ゆきぃ…やぁ」
……この声で名前呼ばれんの、ホントすげぇーイイ。
甘ったるい鳴き声を上げて、俺の髪を掴み背中を反らす星が好きで。可愛い可愛い星くんが、この反応をしてるってことは、俺が今触れている場所は星くんの乳首ってコト。
「ソコっ、や…んっ」
「ソコじゃ分かんねぇーよ、ちゃんと言え」
「ムリぃ…ぁ、ぅ」
言えないのも、無理なのも知ってる。
優しく嬲られると、もどかしくて腰が揺れてしまうことも。舐め上げられるのが弱いことも、甘噛みしてやると堪らず声が洩れてしまうのも知ってる。一瞬だけの痛みなら、それが快感に変わることも。
首を小さく左右に振り、きゅっと閉じられた瞼。この次に星くんが強請ってくるのは、先走りに溢れたモノに触れてもらうことだろう。
一度に身包みを剥がすのも悪くはないけれど、今日はもっと楽しみたい。そんな思いで上から順に脱がしていってやり、今は下着一枚だけの星くん。
本人は無意識なんだろうが、その存在を示すように揺れていく星の細い腰は、覆いかぶさる俺の腿にそのモノを押し当ててくる。
「……ったく、可愛いコトしやがって」
既に濡れきったソコは下着にくっきり染みを作り、その中で卑猥な音を奏で鳴いていて。
「や、んっ…ンン、はぁ」
欲に忠実な星は、揺れる腰の動きを止めることがない。触れて欲しくて堪らないといった状態の星があまりに可愛く思えて、同じ男だから分かる焦れったさでも、俺はそのことに気づかぬフリをした。
「んぅ…ァ、あぁっ」
星の先走りで濡れた下着は、俺の腿にピタリと引っ付き星のモノの存在を主張する。可愛く勃ち上がり、更なる刺激を待ち侘びているソコをどうしてほしいのか……理解はしているけれど、俺は言葉で示してほしい。
「星くん、口で言わなきゃ分かんねぇーって。俺がそんなに優しくねぇーコト、お前が一番よく知ってんだろ?」
潤む瞳で俺を睨みつけてくる星に微笑み、愛らしい鼻の頭にキスをして。甘く熱っぽい視線を受け入れた俺は、星の耳元でそう囁いた。
「ばかぁ…いじっ、わるぅ」
あー、あー。
クッソ可愛い星くん。
喘ぎながら拗ねるってすげぇーな、コイツ。
そんなことを思いつつ、俺が星の反応を見ながら芯を持つ胸の突起に触れて遊んでいると、俺の肩に星の歯が突き刺さる。
「こら、いてぇーよ」
「ぅー、むぅ…」
「ッ、星」
甘噛みなんて可愛らしい噛み方じゃなく、本当に喰われんじゃねぇーかと思うくらいの痛みに俺は眉を寄せる。
この噛み方は、確実に痣になるタイプのもの。
そのなかで強く痛みを感じる一箇所は、尖った犬歯が刺さっている証拠で。ゆっくりと口を離した星の唇には、鮮やかな色をした血が滲んでいた。
もしもコイツが吸血鬼なら、きっとすげぇー優秀なヤツだと思う。仕返しとばかりに俺の肩に噛みつき、紅く染まった唇で星は満足気に微笑んだ後、俺の耳に口付け甘い声で囁いた。
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