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第640話

ひとつになって、思うことはたくさんある。 嬉しさもあれば、寂しさもあって……このまま離れたくないし、いつまでも雪夜さんを感じていたいって思う。 途切れそうになる意識と、雪夜さんを受け入れ揺れていく身体。もう色々ぐちゃぐちゃで、オレは鳴き声を上げ、雪夜さんに縋るばかりだけど。 「ゆきっ、やぁ…あぁッ、んっ」 「ハァ…すっげぇー、可愛い」 オレの上で、小さな吐息を漏らした雪夜さんが愛おしくて。長めの前髪の奥で揺れる淡い色の瞳を、オレはずっと見ていたいって思った。 オレは、雪夜さんが大好きなんだ。 どれだけ快楽に溺れたとしても、伝えたい気持ちはお互いに一つで。気持ちいいのはもちろんだけれど、それ以上に満たされていく感覚は、オレの心まで溶かしてしまう。 「ッたく…締めすぎ、星くん」 「んぁ、あぁッ…ふぁっ」 震える両手で雪夜さんの肌に爪を立てると、雪夜さんの動きが激しいものに変わっていく。幾度となく弱いところを擦り上げられても、何度イッてしまっても。 繋がって得られる幸せと、それを失いたくない気持ちが交差して、オレは雪夜さんに行かないでって言ってしまいそうになった。 「んっ、ンン…はぁ、ァっ」 本当は、離れたくなんかない。 大好きな雪夜さんと、いつまでも繋がっていたい。 でも、でも今はまだダメだから。 いくら身体で雪夜さんを受け入れたとしても、オレのこの想いだけは伝えるわけにはいかなくて。 流れそうになる涙を堪え、オレは声を押し殺す。苦しくて、切なくて……おかしくなってしまいそうになるのは、身体だけじゃなく心も一緒だと思った。 こんなにも触れ合っているのに、数日後には嫌でも襲ってくる孤独が怖い。でも、それを雪夜さんに悟られたくなくて、オレは雪夜さんの胸に顔を埋めるけれど。 「星ッ…受け止めてやっから、我慢なんかすんな」 「れもっ、ん…らめっ、ぁ…もんッ」 「呂律回ってねぇーし、ココぐちゃぐちゃだし…泣いていいから、星の全部見せて」 オレの恋人は、とっても優しい人だから。 快感とともにやってくる見えない不安を、雪夜さんは曝け出していいよって……オレの目尻に溜まった涙に口付けて、大好きな笑顔で微笑んでくれた。 「ぁっ、く…さみぃ、しぃ…」 その優しさに甘えて、ずっと我慢していた想いが一気に溢れてくる。今はこんなに感じられているのに、どこにも行ってほしくないのに。離れずに傍にいて、大丈夫だって笑ってほしいのに。 「いっちゃぁ…やらっ、好き…好きッ、なのぉ…」 言わずにいようと思っていた言葉が溢れ落ちて、オレの涙は快楽とは異なる意味を持ってしまうけれど。 「ん、ありがとうな…星、愛してる」 しっかりとオレを抱き締めてくれる雪夜さんの腕の中は心地よくて、箍が外れたように泣きじゃくり、雪夜さんにしがみついたまま……なにがなんだか分からなくなるまで、オレは雪夜さんと二人、愛を伝え合ったんだ。

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