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第748話
お互いが同じ気持ちなら、遠慮なんていらない。雪夜さんが、こんなにもオレを求めてくれるなら……理性を堪えるために用いる優しさなんて、いらないんだ。
ゆっくり、ゆっくり。
溶かされた身体は、まだ触れられていない場所から蜜を垂らしていく。オレだって我慢できないし、早く雪夜さんとひとつになりたいと思う気持ちだけで心が溢れて。
甘く揺れる淡い色の瞳は鋭さが増し、そんなオレの心を射抜く。雪夜さんのモノに触れていたオレの手を掴み、力強くその手をベッドへと押さえ付けた雪夜さんは、オレを見下ろしてくるけれど。
「星くん、できるだけお前に負担かかんねぇーようにすっけど……そんでも、痛かったらごめん。先に謝っとくわ」
「雪夜さん……」
オレの恋人は、優しい人だから。
呟かれた言葉から、最後の最後まで、オレのことを思ってくれてるのがよく分かって。安心感と幸せを感じていたオレだったけど。
「んっ…ちょ、んぁッ」
ガバッと足を左右に広げられ、雪夜さんを受け入れるための場所が露わになってしまい、ソコに這わせられた舌の熱さにオレは身体を震わせる。
「大人しくしてろ、星」
「はぁっ、ん…ァ、んんっ」
どうしよう、気持ちいい。
気持ちいいけれど、オレが求めているものはコレじゃない。でも、ちゃんとこうしてならさないと、オレだけじゃなくて雪夜さんも辛いんだって思うから。
気持ち良過ぎて、大人しくはできないけれど。
オレはぴくんっと身を捩りつつ、オレの太腿にある雪夜さんの手を握った。
「ゆきっ、やぁ…」
そんなことどうでもいいから、雪夜さんが欲しいって。オレの考えていることが雪夜さんには伝わっているのか、雪夜さんは苦笑いしてこう洩らして。
「もうちょい待ってて、星くん」
雪夜さんの舌と指で確実に解されていく刺激は、時間をかけてオレの頭を壊していってしまう。雪夜さんを感じて流れていく涙は止まらないし、後ろだけで果ててしまえそうな快楽は、気持ちいいを通り越して苦しく感じる。
だけど、それでも。
「もぅ、いいっ…からぁ」
痛くてもなんでもいいから、雪夜さんと繋がりたい。そんな想いを込め、涙で濡れきった瞳で雪夜さんを見つめたオレは、雪夜さんに向けて両手を伸ばす。
どのくらい準備ができているのか、オレにはよく分からない。けれど、雪夜さんはオレが強請れば望みを叶えてくれるから。
埋まっていた指は抜け、艶めいた唇を手の甲で拭った雪夜さんはオレの頭を撫でると、オレが大好きな笑顔で微笑んでくれたんだ。
「星、愛してる」
「ぅ、ん…オレ、もッ」
愛してる。
その言葉は声にならずに、雪夜さんの柔らかい唇に遮られていく。触れ合った唇と、絡まった指先。重なり合った身体で、どうにもできないくらいの愛しい想いを感じ取って。
どれほど、この瞬間を待ち望んでいたんだろうって。ひとつなって得られる快楽も、その先にある計り知れない幸せも。
ずっと、ずっと待っていたものだから。
「はぁっ、あ…は、ン…んッ!!」
雪夜さんとひとつになれた、瞬間。
抑えきれない欲は、オレのモノから勢い良く溢れ出していった。
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