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第905話
雪夜さんだから気持ち良くなって、雪夜さんだから欲しくなる。それはどんな時でも変わらなくて、オレは雪夜さんの襟足の髪をぎゅっと掴み直した。
いつまでもこうして、雪夜さんだけを感じていたい。そんなふうに思うのは、この世界中でオレだけがいいから。
「はぁ…ぅ、ん」
チラリと覗く雪夜さんの首筋に噛み付いて、オレは甘い刺激から逃げ出そうとするけれど。
「こーら、逃げんな」
「あっ、ン…やぁ」
もっとって、強請ったのはオレなのに。
失われそうな理性を保とうとする頭と欲に勝てない狭間で揺れていく心は、オレの思い通りにはならない。
本当に嫌なわけじゃないのに、口からは嫌だって言葉が勝手に漏れてしまうし、嫌だって言ってるくせに、熱くなる身体はオレじゃどうにもできなくて。
雪夜さんにすべてを委ねて目を閉じることしかできないオレは、徐々に薄れていく羞恥心に目を瞑る。
そのあいだも、雪夜さんはオレの胸の飾りで遊んだり、自由な両手で色んなところを撫でてくるから。その刺激にオレは身体を震わせて、雪夜さんに縋り付いていく。
「ココ、もうすげぇー濡れてんだけど」
思うように力が入らないオレの身体を上手に支えつつ、唇にキスを落とした雪夜さん。意地悪なのに優しくて、甘い瞳で見つめられて。雪夜さんに遊ばれて、下着を汚さずにいられる人の方がどうかしてるんじゃないかと思うのに。
素直に反応にしているオレのモノに直接触れた雪夜さんは、下着の中でその手をゆっくりと動かしていくんだ。
「ぁっ…ん、ゆきッ…はぁ…」
「星くん、気持ちイイ?」
気持ち良くなかったら、オレは泣いてないと思う。呼吸が乱れることだってないと思うし、こんなにはしたない姿を見せる必要だってない。
雪夜さんだって、そんなことは分かっているくせに。確認するように問い掛けられた言葉に、オレはこくりと頷いた。
「イイなら、ちゃんとイイって言えよ。その方が気持ち良くなれっから、お前もよく知ってんだろ?」
「ぁ、イイっ…んぁ、気持ちぃ」
「いい子、星くん」
「雪夜ぁ、さ…んっ、だめ…もぅ」
気持ち良過ぎて、おかしくなりそうで。
迫りくる吐精感にまだイきたくないと首を振ったオレを見て、雪夜さんは動かしていた手を止めてくれた。
普段なら、こんなに小さな抵抗は意味のないものに変わって。雪夜さんはオレの意見に関係なく、このままオレの頭を真っ白く塗りつぶしてしまうけれど。
「星、こっちに手ついて」
今日の雪夜さんは、意外にもすんなりオレの意見を聞き入れてくれて。そう言った雪夜さんの指示に従い、オレは言われるがままソファーの背に手をついた。
「イイ眺め、やっぱ後ろからも悪くねぇーな」
オレの身包みを剥がしながら、呟いた雪夜さんの口角がニヤリと上がっていたことすら知らないで。
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