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第947話
「オレっ、ん…がぁ…するぅ、の」
強情な恋人は、懸命に反論する。
そんな姿も可愛いけれど、これだけ煽り倒しておいて俺に大人しくしろってのはさすがに無理な話だ。
「無理、もう我慢の限界」
有無を言わさず、押し倒したいが。
ベッドに手を付き腕を伸ばして、俺を見下ろす星は寂しそうな顔をしていて。
「だって、それじゃあ雪夜さん…っ、気持ちよく、させれない」
うるうると潤み始めた瞳は、消える寸前だった俺の理性を引き止める。
「……逆だ、バカ」
大切に、大事に。
そんな淡くもかけがえのない気持ちを俺に教えてくれた恋人は、愛おしい想いの伝え方に悩み、眉を寄せてしまった。
「バカじゃない、もんっ、雪夜さんのこと…もっと気持ち…く、したいっ、からぁ」
目に涙を浮かべ、震えるカラダを必死で支えている星くん。自分がされていることを思い出しながら頑張っていたのだから、感じやすい耳への刺激だけで簡単に蕩けてしまうのは仕方ないけれど。
二人で気持ち良くなることを散々教え込んできたのに、この期に及んで俺をどうにか感じさせようとしている星の唇を奪っていく。
「ンッ、はぁ…ん」
艶やかな髪を指先で掬いながらも星の頭を抱え込んで、甘い吐息が洩れる唇をゆっくりと俺が堪能した後。お互いに一度気持ちを落ち着かせるため、俺たちは額を合わせた。
「俺は、お前と気持ち良くなりてぇーんだけど、星はちげぇーの?」
「違わない……でもっ、いつもオレばっかりしてもらってるから……だからっ」
「んなことねぇーわ。お前が気持ちイイと、俺もすげぇーイイんだよ。だから、星が俺を感じてくれれば、俺はめちゃくちゃ気持ちイイってワケだ」
「オレだって、雪夜さんにオレのこと感じてほしいもん……してもらうだけじゃなくて、オレもしたいんです」
恥ずかしがり屋で照れ屋のクセに、ここぞとばかりに星が紡ぐ言葉は真っ直ぐな想いで。ド淫乱な星くんが身も心も満足できるように、俺はあることを投げ掛ける。
「んじゃ、後ろ向いてこっちこい。お前の希望通りに一緒に気持ち良くなれる方法、教えてやるよ」
こくりと小さく頷いた星は、俺の指示に従ってくれた。ベッドに寝転んだままの俺の上に、跨るようにして星くんが乗っかっているのは変わりないけれど。
「あのっ、なんか…恥ずか、しぃ」
「恥ずかしいって、お前がするって言い出したんだろ?」
「そう、だけど…こんなの、だめ」
星の要望に応えてやれるシックスナインの体制に持ち込んだものの、恥ずかしさに堪えきれない星くんはふるふると首を横に振る。
俺の目の前に自分からソコを見せつけている姿勢は、星の羞恥心を煽るのにうってつけだ。その上、恥ずかしさを感じながらも、健気な星は俺に奉仕することを諦めないだろうから。
「俺のこと、気持ち良くしたいんだろ……そんなら、お前の好きにすればいい」
……まぁ、俺も好きにさせてもらうけどな。
星の意識をされる側からする側に向けてやると、この行為の意図を理解したらしい星くんは俺のスウェットに手をかけた。
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